病院に迎えに行くと、入会に来てくれた故人の娘さんと姉妹の
2人が玄関前の車で待っていてくれました。
うちの寝台車を見ると車から出てこられ「お世話になります。
顔を見てホッとしました」と困ったような笑顔で迎えてくれた。

エレベーターが姉妹と我々だけなので簡単に聞いておきます。

「確か直葬で納棺安置だったと記憶してるけど、それで良い?」

「はぃ、姉も費用の心配してるから・・・ただお婆さんはお寺で
葬儀して貰って・・・なんて言ってるけど、お金は無いんです」

「分かった、納棺安置したら打合せしましょう。 とりあえずは
お父さんを、あんしん館まで運びますね。 皆さん自分達の車で
慌てずに来てください」

「はぃ 分りました」

あんしん館までの車中、千明に言いました。

「お婆ちゃん、金は無くても葬儀のイメージだけは持ってるんだ
と思うから、今日なら式場空いてるし祭壇前に安置してあげれば
お婆ちゃんも喜んでくれるかもな。 式場使用料はサービスして
あげれば良いんじゃん」 「うん、私もそう思ってました」

という事で、あんしん館の祭壇前に納棺安置が済むと、家族に声
掛けをして祭壇前で『末後の水』をとって貰い『線香』を供える。
お婆ちゃんは棺の横に椅子を置き座って貰ってて、その間に最終
打合せに入ります。

初めて会う長女、入会に来てくれた次女との打合せです。

「エレベーター内で聞いたように費用の心配が、最課題なんです
から余計な事は考えず、直葬69.000+税で行きましょう」から
始まり、いつものように無理はしない・・・見栄は要らない・・・
今まで相当な面倒看てきたんでしょ? 等の話題を明るく話す。

墓は先祖の入ってる墓はあるようですが、自分達は全く付き合い
してないとの事・・・ならと『ばっく60』を説明して無理せずに
使える予算で、どちらかに決めれば良いし、家族から追加希望を
言わなければ表示されてる内容の金額だけで、不明な追加は一切
ないから料金は自分達で計算しても一緒だと話す。

「ところで年金は無かったの?」

聞くと年金は普通に生活できる額だったようですが、パチンコを
したり、色々と使ってしまい毎月補填してあげてたそうです。

今日は7月1日で、年金は亡くなった月まで支給されるから8月
15日は今まで通り6月、7月分が入金されるし、お婆ちゃんは
65才以上だからお爺ちゃんの年金は減額されるけど、遺族年金
として貰えると思うよ。 ただし金額は個々で違うから、年金事
務所に行って計算して貰えば良いとも伝える。

すると、初めて会った長女が色々話しをし出し、姉妹揃って今迄
大変だった事をお互い相槌を打ちながら、ぶっちゃけました。
突然、お姉さんが「今気づいたんですけど、初めって会った人に
それも葬儀社の人に、こんな話しをしてる自分に驚いています。
お話しを聞いてて遺族年金でお婆ちゃんの生活も何とかなりそう
だと分かったし、8月の年金も出ると聞いて安心したんですね」
と笑いました。

お爺ちゃんの年金内で済むなら、お婆ちゃんが納得できる葬儀に
してあげたいと言い出し内容が少し変更されました。

ぱっく60    108.000円(直葬+散骨+永代供養墓保管)
会える安置    10.800円(10時~19時の間はいつでも会えます)
安置1日追加    5.400円(友引が入り48時間超える為の追加)
居士戒名    20.000円(布施に付き消費税なし)
枕経        20.000円(布施に付き消費税なし)
野位牌         1.080円(戒名を書き火葬場に持ってく位牌)
白木善一式    2.160円(一膳飯、枕団子、白木善)
式場使用        (我々が車中で決めたのでサービス)
----------------------------------------------------
総支払合計  167.440円

こうして文字にしてみると、僕が見ても安いと思えます。
安置、火葬までの全ては勿論、枕経・居士戒名・散骨・永代供養
墓の全てが入ってですから、自分でもあり得ねぇよなぁって思う。

昨日午後4時から、住職の都合で枕経が行われました。 
日曜日だったのが幸いして10数名が列席できましたから、家族
達で好きだったタバコ、食べ物を入れたり、戒名説明書を読んで、
いつも納棺師で話している一部を話したりして1時間ほど過ごし
ましたが、故人の娘達は目を赤くして喜んでくれました。

我々は単純に家族の財布事情に合わせ、直葬69.000円から勧めた
だけでしたが、ちょつとした知識を話しただけで、お婆ちゃんも
納得してくれる葬儀にできたし、布施も含みますが、少し料金も
増えたから、ちょっぴり利益も増える結果となりました。

無理して料金を吊り上げなくても、家族の財布事情に納まるなら
できる限りのことをしてあげたいのが家族だって事です。

今回の家族も葬儀した方の紹介だし、今事務所のモニターに2名
女性が映っていますが、ケアマネさんからの紹介だそうです。

相手の立場で最適と思われる内容、料金を強めに話す事で安心感
だけでなく信頼感も得られる。 一度の葬儀で得られる利益って
決して多くはないけど、葬儀した家族が率先して種蒔きをしてく
れているって事です。 勿論、我々の知らないところで・・・

30年間に及ぶ経営者経験でしかありませんが・・・
これぞ細く長く続ける極意と言えるような気がします。
利用者の利益を本気で考え実行すれば、ちゃんと利用者は応えて
くれるし、感謝までしてくれるものです。

経営者側の立場で読む人は、自分が利用者なら、どんな葬儀社に
依頼したいかと考えれば、普通の人なら分かるはずです。

最後の部分で大事なのが何処か分かりますか?
『細く長く続ける』ってことです。
太く長く続けられる経営者は極々ひとつまみでしかありません。
大半は太く短くなるばすです。 しかし羽振りの良かった人達が
破滅への道を辿った姿を見ていると、色々な所に無理があります。



勿論、太く長く続けられる能力を備えた方は、意のまま突き進む
べきですが、そんな人が僕のブログを読むとは思えません。
スタンスが全く違うからです。

僕のプログ見て納得しちゃう人は、細く長くが最善だろうと思う。
倒産の現実を知ってるからかなぁ・・・事業して20年間食い続け
られたら、中々のもんだと思って間違いないですよ。



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