人が生きてく上で、予想外の展開になった経験は誰にでもあると
思うし、良い意味での予想外なら問題はありませんが、逆の予想
外の場面が問題です。
困った状況、アクシデント、時には命に係わる状況もある訳です。
こんな時に必要な資質は二つです。
1. 冷静な判断と高度な技術
2. 周囲が納得できるリーダーシップ
余り直面したくない状況が多いでしょうが、その場に遭遇したら
対処して乗り切るしかありません。
『1. 冷静な判断と高度な技術』
典型的なのは飛行中の機体に異常が出たパイロットでしょう。
乗客の命を最優先し、持てる能力を結集し、尚且つ冷静な判断が
多くの命を守れたり、守れない現実となってきます。
『2. 周囲が納得できるリーダーシップ』
皆さんの記憶にあるのは、東日本大震災で全館解放して来場者の
命を守ったショッピングモールの支配人や、鳥取の大雪だったと
思うけど動けなくなった車列の人達に、自分が配送途中のパンを
配布したヤマザキパンの運転手などは、突然の混乱状態にあって
自然発生したリーダー気質の強い人達だと言えます。
我々の仕事で通常時は、これほど切羽詰まった状況は起こりませ
んが、予想外の展開になる事はいくらでもあるはずです。
・搬送に行ったら目がパッチリ開いてるご遺体だった
・医師の死亡確認が遅れ、搬送時点で腐敗臭がきつい
・用意した返礼品の数が足りない
・うちは無いけど、口が閉じないなんてのもあるかな・・
・亡くなった自宅に行ったら二階で急な階段しかない
どれも、さして大きな問題ではありませんが良くあることです。
昨日もこの類の判断を迫られる場面がありました。
昨日火葬された一軒は、兄弟姉妹が県外在住で一人は北海道から
来県すると分っていた為、火葬後は即日納骨をする事にしました。
二件目の火葬は家族が拾骨しない為、朝一火葬の拾骨が終了した
直後、二件目の拾骨は斎場担当者にお願いし、雨具の準備と納骨
する道具を積み、車で40分ほどの墓所に向かいました。
墓所の場所が分らない為、途中で待ち合せて先導して貰いました。
一族の墓所に到着すると、墓誌彫りが出来るかの確認をします。
幸いうちのコンプレッサーで対応できる距離だと説明し、墓石が
横に三基並んでいる結構大きな墓への納骨準備に入る。
良く見るとカロートのフタはひとつしかなく、そこに納骨すると
確認してカロートのフタを開ける。
あれ、バールから受ける感触に違和感を感じながらも、開けると
そこにあったのは、カロートでなく、よく一般家庭の室外にある
廃水マス・・・ ん? これなに???
すると家族も初めて知ったようで「なんだこれ? これって骨壺
入らないですよね? どうする?」
少し家族の様子を見ましたが、誰からも提案が無いので、こんな
風に言いました。
「骨壺から遺骨を撒けば今回は入りますが、次の人が入れるかは
分かりません。 でも一番下の弟さんは絶対入るでしょ? だと
すれば、最低でもあと数人は入れる必要があるから、今日は折角
来たんだからみんなで線香を供えて、焼骨は粉骨にしてから廃水
マス内に撒けば10人や20人は間違くなく入るけど、どうする?」
結局、この案で決まり墓誌彫りの時に一緒に撒くから、墓誌彫り
日時が決まったら連絡し、時間的に墓所に来られたら同席するし
仕事の都合等で難しければ、我々が代行する事で決まりました。
今回は簡単な対処方法を考えれば済みましたが、時には頭を抱え
たくなる事もあるのが現実です。 いつ、なにがあっても慌てず
冷静に、最善と思える方法を考え、その場の皆が納得してくれる
ような言動って、葬儀の仕事には付き物だと感じます。
こんな小さな事の積み重ねや、迅速な対応の中に、その人の実力
とか人間性が出て、家族はそれを感じるのだろうと思います。
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