初夏のような陽気の午前9時、パウダースノーのような粉骨袋を
7つリュックに入れ、生花、線香を持って前橋を出発。
途中工事と25日の為か道路が混雑、90分以上掛かって散骨場の
地域に到着、沼田市街地手前までは葉桜でしたが、市街地を過ぎ
るとまだ桜の花が咲いてて、山を越えると桜は満開でした。
・・・前橋市内とは桜前線に半月の差があるようです。

7人分の粉骨は結構重い・・・リュックに背負って山道を登るが
花粉対策用のマスクがあるせいか、年のせいか、息があがる。

散骨場の木々は新芽が芽吹いて春を感じさせてくれる。
数えてみると散骨場を所有してから7年目の春を迎えました。

散骨場に足を踏み入れるのは我々だけ、400坪の山林に散骨する
のは順次場所を変更していけるから、すぐに撒いた上を歩く事も
ないし、家族同士は同じ場所にも撒けるし、人が沢山出入りする
事はないから静かに過ごして貰えるし、今になってみると結果オ
ーライの代行散骨だと思う。

当初は家族も散骨場まで行き、自分達の手で撒いて貰いましたが、
ある時、散骨場に行くと火のついた線香が灯っているのを発見、、

「えっ、線香があるって事は誰か家族が来たってことか!?」

それにしても、枯葉の冬山に線香・・・非常識にもほどがある。
もし山火事にでもなったら、間違いなく二度と散骨などできない。

戻ってすぐに対策を練った。

・散骨は全て代行、我々が引き受けて散骨し場所は明示しない
・家族は散骨後も手を合わせられる場所が欲しいんだと知る
・散骨最大の難点は手を合わせる場所が無い事には気づいていた
・自分で散骨せず納得できる方法はあるか・・・

そこで永代供養墓を建立し、一部焼骨を保管すれば、彼岸や盆は
墓参りができるし、墓守のいない人達でも墓に入れる。
全部散骨したい人、一部永代供養墓に入れる人、そして年老いて
墓参が大変な老人用に一部は手元供養の三種を設定すれば良い。
問題は何処に建立するかだ・・・墓を建てるのは簡単ではない。

結局、お手伝いに来てくれている寺の中から、一番多く来てくれ
話のし易い住職にお願いすることにした。
通常永代使用料を支払い、年会費も払うわけだが、考えようでは
仮に永代供養墓に500体の遺骨が入れば、年忌法要する人だって
いるだろうから檀家が500増えたようなもんだと思えた。
それを住職に話すと納得してくれ、無料で建立、年会費もなしで
建てさせて貰えた・・・だから今は納骨しても一銭も掛らない。

散骨しながら、そんな事を思い出し春を身体一杯感じてきた。

道が混んでいるからと、いつもと違う道を帰ってくると途中には
『いちご狩り』のできる農園が、この先にある看板があった。



「いちご狩りってした事ねぇな、千明はあるの?」
「ありますよ、いちご狩りは結構食べられますよ」
「ふーん、そうなんだぁ、時間に決まりはあるんでしょ?」
「確か、1時間くらいだったかな・・・」
「そんなに? 30分もあれば充分だろ、いくらくらいなの?」
「この時期なら1.000円くらいじゃないですかね」
「へぇー、じゃあ寄ってみるかね?」
「ほんとですかぁ、わぁい♪」

いちご農園に到着すると、一人1.000円30分でした。
遊園地の乗り物みたいに改造したワゴン車で、近くのいちごハウ
スに連れて行かれ、練乳が入り、ヘタ入れの付いた容器を渡され
いちごは4種類あるから好きに食べてくださいと言われる。
初めてだからいちごの取り方が分からず教えて貰った。

15分後には腹一杯・・・
「ほらな30分あれば充分だと思ったよ」と言い、20分で退室、
車まで近いからと腹ごなしに歩いて戻ってきた。
いちごを腹一杯食べたのは生まれて初めてでした。

2月から6月初旬までやってるらしい・・・
これで春の散骨時は、帰りにいちご狩りができそうです。
6月終わりにになれば鮎の塩焼きも食べられます。 
季節、季節で散骨に行く楽しみがあり、またひとつ増えました。


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