葬儀を仕事にしてすぐに気づいたのが、いつ依頼が入るか分からず、
予想もつかず、全く計算ができない仕事だということでした。
人が逝去しなければ仕事は無い、、、何だか人の死を待ってる仕事
みたいだし、経営内容が厳しければ、その感覚が本音となるだろう
ことは誰が考えても分かることです。
どんなに綺麗ごとを言っても事業の存続が最優先となるのは、火を
見るより明らかであり、葬儀を生業とする限り間違いありません。
ただそんな自分に成りたくない、他人の不幸を我が幸いと感じる事
なく、他人の不幸を我が不幸と感じられる葬儀社は存在し得るのか、
と考えましたが経営内容次第だろうと思えた。
ならば考え方次第で経営内容は良い方向へと変えられるか!?とも
考えるが鶏と卵のような感覚がして答えはでません。
元々葬儀の仕事がしたい訳ではないし、千明の収入が確保できたら、
すぐ抜ける予定でしたから本気になる必要は無いと思っていた。
ところが葬儀、宗教者、遺骨など死後費用で苦しむ人、困ってる人
更にはローンを組ませられ支払っている人もいると知って驚いた。
故人への純粋な思いを逆手にとって、供養だ、なんだと霊感商法と
しか思えない戯言を言う業者に怒りを覚え、宗教者と呼ばれてる人
でさえ、突き詰めれば金、金の現実と分かった時、持ち前の性格に
火がついたから、自分でも止めようがない・・・
突っ走るには『食える利益』と『薄利事業』と相反する2つを解決
できる方法を決定することでした。
その壱『いつでも家族目線を貫き通せること』
・霊感商法の葬儀社、金の亡者である宗教者から無知な人を守る
・金を掛けずとも葬儀はできる現実を創り出す
その弐『少ない利益でも年間通して食える依頼数を確保する』
・最低限の葬儀は絶対に企画すべき、儲けは出なくて良いと考える
・遺骨供養、処理も絶対に必要
・あんしんサポートだけで全て対応できる業務内容にする
家族目線を貫けば間違いなく利益は減るけど、それでも食えるだけ
依頼が無ければ存続はできないだろうと覚悟した。
その為の目標が『3年間で500名の会員を確保する』でした。
死亡率は1%、しかし葬儀会員なら10%の利用は見込めるだろう。
逝去後の依頼も含め年間60施行程度が見込めると考えました。
1施行の平均20万とすれば、年間1200万円の売上で経費等を
差し引いても2名なら何とか食える水準になるだろうと考えました。
しかし2年間で入会者はたった15名、施行も初年度3施行、2年
目7施行と絵に描いた餅でなく、絵にも描けない餅・・・でした。
ところが5万円火葬支援パックが完成した翌年4年目は大幅に増え、
5年目には、あんしん館完成、更にNHKで全国放送と続いたのも
幸いし毎月20名、30名と増えるようになりました。
当初予想の10%利用ですが、中々いい線だったようです。
初年度から3年間はさして葬儀もなく、1件、1件ていねいに家族
目線で全力投球してきた事が良かったのでしょう。
葬儀をした家族からの紹介は予想以上で、今では9割が紹介者です。
また再入会率が9割を超える現実も、我々の進む道が利用者の要望
希望から外れてない証明だと思っています。
3月24日も3名の入会がありました。
・母親が末期癌で余命3ヶ月と言われ、ぱっく60希望の入会
・一度話しを聞きにきた施設入居の男性、ぱっく60希望と入会
・ずっと前から入会したいと思ってたが母親の納得を得て、ぱっく
60希望と墓閉じ希望で入会
これを見ても葬儀は葬儀屋、墓は石屋、と個々で利益を得る体制で
なく逝去後は全て低料金で任せられる事を望む人が増えています。
この感覚に気づき、葬儀を学び、死を学び、弱者の心理と生活事情
までも学んだ上で、何をすべきか、何を貫くべきか学べた設立から
3年間は、食えませんでしたが必要だったと思います。
そして実際にしてきたことは・・・
『葬儀、相続、遺体、宗教などについて自分なりに学んだ』
『現行葬儀を知り、家族目線で修正した葬儀を創り出した』
『利用者から信頼に足る者と思われる姿勢を貫いた』
『その姿勢を貫けない利用者は入会の段階で拒否し受入れない』
『我がままは聞かない部分も徹底してきた』
『入会営業せず、足を運んで貰うのが基本(例外除く)』
『広告宣伝は料金まで全て明確にし、配布したり、懸垂幕に掲げた』
『講演会、勉強会は6回コースで年2回行った』
『利益は次のステップ、散骨場、永代供養墓、式場とまわした』
『霊柩車、ストレッチャーは千明に借金をしても準備した』
『黒パンツ、黒ポシャツ、黒ジャンパーが基本だから目立った』
これらは今も続けていますが、基本的には我々が自己自慢するより
葬儀をした家族に直接聞いてください・・・が基本姿勢です。
話しのついでだから書きますが、次にしたい事が2つほどあります。
したい事というより、日々の業務の中で利用者から感じる事です。
僕の年齢や体力と借金はしたくないから、実現するか分かりません
けど、今の時代がより進むと需要はあるだろうことです。
今回の内容については、余りに書くことがあり過ぎて、かなり省き
ましたからちゃんと伝わるか分かりませんが、食える、食えないを
考える前に走るべき路線が敷かれることです。
その路線を走り続けるには、どれだけの燃料がいるか、それはいつ
までに揃えれば良いか、その為に必要な知識はなにかと考え、実行
していくしかないと思います。
・・・但し、辛いから、大変だからと、初めに敷いた路線ではなく、
楽そうに見える路線に変更しても殆どの場合、走り切れない事です。
それは自分が走りたい路線ではないから、頑張り処でも頑張れない
結果に成り得る確率が非常に高くなるからです。
事業の成否は能力より、気力と踏ん張り、そして運の影響が大きい
ような気がするし、事業から企業へと成長するには人材ですかね。
誰もが終幕後の費用を心配することなく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えていたか嘘のつけない自分日誌でもあります