毎年、毎月のことながら、全く先の読めないのが葬儀の仕事です。
業界の人は100%首を縦に振る一文でしょう。
設立当初はわずかな施行数だったのに集中するし、最近になっては
死ぬほど忙しくなったり、数日間空いたりといった感じです。
毎月の施行数を見ると、年間通して平均しているほうだと思うけど、
それでも繁閑の差がある業界なのは間違いありません。
サラリーマンなら暇でも気楽なもんでしょうが、経営者にとっては
死活問題ですから、一喜一憂しても意味はないと分かっているけど
悩んじゃう・・・って感じの経営者もいるんじゃないかな。
僕があまり悩まない性格なのは、もって生まれたもんじゃない。
若い頃から過大評価で、人の上に立ってきた経験もあるでしょうが
前職の美容業経営者時代に否応なく培われたものだと思う。
20代のサラリーマン時代から僕なりの経営理念があった。
『我が店はお客様の為にあり』
お客は自分が得をする店にしかいかない・・・
得とは安いだけでなく、品質が良い、自分好みの品揃えがしてある
或いは店員さんが自分の好みを知ってるから・・・なんてのもある。
だから食料品、衣料品、雑貨など目的別に行きつけの店がある。
そう、店は経営者が儲ける場所でなく、お客が喜ぶところ・・・
そう考えれば繁盛店を作るのは決して難しい事ではない・・・
ブログにも書いた事はあるから、見覚えのある方もいるでしょう。
あんしんサポート経営の根底にあるのも、基本はこの考え方です。
ところが経営者になって『我が店はお客様の為にあり』との理念を
唱えると、誰もが賛同するし、否定をするスタッフは皆無と言える
ほどいない・・・しかし現実に実行できるスタッフは皆無だった。
『我が店はお客様の為にあり』簡単な言葉だけに本質を身に付ける
のは至難の業とも言えるほど難しいらしい・・・
圧倒的多数は『お客の我がまま』との区別ができない。
また会議ではお客の立場で発言できても、現場に入ると店側立場で
対応するのが普通のようです。
さらに自分はできていると思い込むスタッフも多い・・・
こうなると『我が店はお客様の為にあり』はお題目でしかない。
まさに絵に描いた餅そのもので、僕の能力ではどうにもならない。
結果・・・思っていたほどの繁盛はしないし、続かない。
時代の流れや、珍しさ、話題の旬などで一時的には繁盛店になった
としても繁盛を5年続けるのは大変だろう。
だが事業資金の返済は10年間が普通だから、経営が傾く事になる。
あんしんサポート設立前の20数年間、経営者をしてきたわけですが
『人の問題』か『金の問題』は、いつも付きまとっていました。
そんな僕がどうして気楽に考えられるようになったか・・・
それが著書の裏表紙にある『執着を捨てれば楽に生きられる』です。
経営者になる判断をしたのは『緊急入院中』でした。
経営者になると『5年で5か所の事業所が増えた』と同時に借金も
億という単位にまでなっていた。 億の現金見たことねぇけど・・・
されどスタッフは中々思ったように育ってはくれないし、美容師と
いうか美容学校を出て3年もすれば半数以下になるのが現実・・・
とても人を育てられる年数ではない・・・
そこでこんな風に考えるようになっていました。
》好きで始めた社長業じゃないし
》返済できなくなったら自己破産すればいい、殺されはしない
》事業は大きくなると売上げは増えるけど、利益は必ずしも比例を
するものでなく、赤字の事業所があると損失補填することになり
事業拡大しないほうが経営は楽な事もある
ならば・・・
>今ある売上げで黒字になる経営をするのが原理原則
>無借金経営が最善の経営方針
>規模や店舗数に見栄は要らない、みんなが食える経営がいい
>人は育てるものでなく、勝手に育つものらしい
そして最終的には・・・
◇どうせ生まれた時は裸だし、稼業倒産で何も無くなったのだから
全てを失っても元の場所に戻るだけのこと
◇俺には働ける肉体と体力と気力がある。だから何をしても食える
◇病院で過ごす人の中には明日をも知れない人達が沢山いる
◇世界には仕事もなく、食えもせず、戦時中の国だってある
・・・・そう考えれば、できる事をして後は天命を待つだな。
こんな風に考えるようになってから、お金が無くてもさして気にも
ならず『何だかんだと食えてるじゃん』さらに『もう少し食えない
ほうが身体は健康になるかもなぁ』・・・という感じでした。
そんな感覚はオーラというか、周囲は敏感に察知するものです。
経営者がいつも眉間にシワを寄せて、苦虫を噛み潰したような顔を
してたら周囲の空気はピリピリしたものになる。
すると仕事より経営者の顔色をうかがう事が優先の職場になる。
経営者が不在の時は『鬼の居ぬ間に・・・』って事に成り兼ねない。
これではいい結果を望むほうが無理だろう。
経営が楽か、苦しいかは何も言わなくても社員は分かるもんだ。
分からない程度の人間なら、その職場には不要な人間だろう。
「経営が苦しいから頑張ってくれ」と言うより、すべき事を率先し
穏やかな顔で、明るくみんなと接しているほうが、社内に流れてる
空気は穏やかだし、スタッフの心にはずっと響く。
これは僕が役員サラリーマン時代、自分で経験している事です。
葬儀業界に話しを戻すと『次の葬儀はいつか分からない』ってのが
極々普通の葬儀社感覚じゃないかなぁ、設立前から予想もできたし
現実としても始めはそうでした。
だから、あんしんサポートはその不安を解消するために始めた事が
いくつもあるし、改めて考えると、それが土台になっている。
誰もが終幕後の費用を心配することなく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えていたか嘘のつけない自分日誌でもあります