昨日前橋での家族葬、本日の高崎での直葬と続けて明るい葬儀に
なりましたが、家族親族から「いいお葬式をして貰えました」と
言われるのは、笑いもある明るい葬儀が圧倒的に多いです。
昨日は伊勢崎市で火葬し、あんしん館に戻ってすぐに湯かん納棺
だった為、何の準備もできず納棺師として話し始めました。
葬儀まで1時間ですが、家族親族は24名と多い為、手足を拭く
だけでも時間が掛かります。 ただ3年前に葬儀を出した家族の
こともあり、親族も僕の湯かんを経験した人のほうが多いと知り
ならばと以下の話しを湯かんの中で分散させながら、30分ほど
使って話しをさせて貰いました。
『なぜ老人破産するか』
『葬儀に金を掛けてる場合じゃない話』
『葬儀屋の誘導商法と霊感商法』
『葬儀は宗教儀式にあらず』
他にはいつものように『供養とは』を始めとした話もしました。
旅支度もすると、1時間では足らないくらいでしたが、事前準備
せず始めただけに、時々笑いのある独演会のようだったらしい。
湯かんが終わり、葬儀までわずかな時間に、数名の女性から声を
掛けられ、うちのほうにも来て貰えるのか、うちのほうに無いの
かと別々に聞かれました。
聞かれたのは前橋より北に位置する『渋川市』『沼田市』在住の
方々らしく、葬儀後は前橋から北西にある『中之条町』と『原町』
在住の人達だと言ってました。
全員に共通していたのは「自分もこんな風に送って欲しい」です。
暗くジメジメせず、出来れば明るく、温かく送って欲しいと思う
のが多くの人の心理なのかもしれません。
最初の湯かん納棺1時間の中で集まった24名がひとつになれた
のだろうと思います。 その後は最後の最後まで明るく、温かく
時には親族が冗談を言って笑いあえるほどです。
それでも出棺前のお別れと、火葬炉に入った時は全員が涙する。
・・・誰かが指揮をとるでもなく、号令を掛けるわけでもないが
何となく全員が同じ方向を向いてるのが分かる葬儀でした。
葬儀が終わって斎場外で挨拶が済むと、家族から言われました。
「武井さん、本当にいいお葬式をして頂けました。 親戚の皆も
良い葬儀だったと褒めてくれました。 ありがとうございました」
こんな時は、我々も本当に良かったと思えます。
事前準備が全くできず、いつもの湯かん納棺とは一味違う時間と
なりましたが結果オーライの葬儀となってくれました。
明けて3月1日は高崎市での火葬でした。
脳梗塞で倒れてから25年間、少しづつ悪化し最後は意志の疎通
さえ出来ずの数年間を過ごして亡くなったお父さんでした。
霊柩車で斎場に到着すると待っていたのは奥さん、娘さんが2人
娘さんのご主人と息子さんの5名だけでした。
90分の火葬時間と聞き、部屋に入るとポッツンと片隅に座って
待つ感じになります・・・ うーん、暗いなぁ・・・
どうせ拾骨まで待つのだからと、武井トークショーの始まりです。
真面目な話しから、笑える話までずっと全員揃って過ごしました。
拾骨の準備ができたとアナウンスされた時、お母さんが一言・・・
「あっ、という間でしたね。ジメジメせず楽しい時間が過ごせて
本当に良かったです」 娘さん達も頷いてお礼を言われました。
駐車場で分かれる時まで和やかな雰囲気の直葬となりました。
勿論、どんな葬儀でも明るくなる訳ではありません。
故人によっては、我々でも泣いてしまうこともあります。
家族より先に僕が泣いてしまった葬儀は何度もあります。
その時は、それでいい葬儀だったと言われることもある・・・
多分、葬儀とは、家族の持つ性格や雰囲気、更にそこに親戚達の
性格や雰囲気も加わりますから、その家族と親族毎に流れる空気
その中で自然に生まれるというか、、その家族親族の持つ空気を
素早く察知して誘導できれば良いんだと思う。
ようするに・・・
・わざとらしく悲しそうな顔を無理に作ることもないし・・・
・ロボットのように無表情、無感情で仕事をする事もないし・・・
・馬鹿丁寧な言葉づかいで話すこともない・・・
葬儀社の心の底にある真意や本音って、どんなにくちが悪くても
優しいさはちゃんと伝わるし、どんなにご丁寧な話し方をしても、
性悪な真意もちゃんと伝わるって事なんだと思う。
正直なところ、僕は他社の葬儀を知りません。
どんな空気かも分かりません。
葬儀をした家族、集まった親族は初めて経験したと言う人が多い。
うちの千明も代表以外は見た事も、聞いた事も無い空気と言う。
他社を知らないだけに、何が良いのかは分かりませんが、明るく
温かい葬儀を良かったと評価する家族が多いのも事実です。
葬儀は悲しそうな顔をしているもの・・・
葬儀で笑顔や笑いはタブー・・・
こんな固定概念を持ってる葬儀社の人は多いかもしれません。
でも・・・本当にそうでしょうか
大事なのは家族の心が温かくなれる葬儀の先導をすること・・・
だからといって、やり過ぎ演出、臭いナレーションなど無用・・・
葬儀という時間だからこそ、誰でもができる事ではない・・・
だから葬儀のプロなんだと思う。
葬儀の流れを知って進行ができる・・・ そんな程度なら少しの
経験さえ積めばバイトだってできるでしょう。
肩書は要らない・・・ 経験年数でもない・・・
家族の心に寄り添い、家族の心を和ませられ、いい葬儀だったと
支払いが済んだあとでも思われる・・・そんな人であり続けたい。
誰もが終幕後の費用を心配することなく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えていたか嘘のつけない自分日誌でもあります