この言葉は、僕のつたない人生経験から生まれたものです。
僕が葬儀の世界に身を置くようになったのも、この考えからだし
前職の美容経営者もそうだし、更にその前の役員をしていた美容
ディーラーもそうでした。

若い頃は何度も何度も仕事を変えました『もっと給料が良い仕事』
『自分を評価してくれる職場』などなど常に自分の欲求が優先で
したが、入社面接はどんなに素晴らしくても、仕事をしてみれば
良いところもあれば、良くないところもあるものです。

美容室に材料を卸すディラー時代、経営者と未来予測の違いから
退社して暫く違う仕事をしていましたが、業界の人達から戻って
来いと言われ続け、ならばと入社したのが前々職の会社でしたが
そこで最初の役職が役員だったり、経営陣は奇数が良く、できる
ことなら、じゃんけんのような3人が良いと学びました。

当時は美容室の経営指導もしており、社交辞令で「一緒に仕事が
したいですね」と言われる経営者は沢山おられました。
社交辞令だと分かっていますから「そうですね」と軽く答えます。
ところが本当に法人設立した人がいたのです。

今は無き有限会社を300万円出資で立ち上げ、代表取締役に僕の
名前があるのを見せられて驚きました。

「この会社は何をするの?」

「決まってるじゃないですか、美容業ですよ」

困ったと思いましたが300万円は投資金として銀行に預けてある
らしいし、とりあえず事業を始めたら手を引こうと考えました。

その最初となったのがホテルの婚礼美粧で、今まで婚礼着付けを
してきた全国的に名前の通った美容室の評判が悪く、地元で良い
美容室を探すとの情報を聞きつけ応募したのです。

何店舗か候補があったようでしたが、面接などした後、美粧室を
依頼する旨の報告を受け事業が始まりました。
当時のホテルは『ブライダルフェア』と称して数日間だけ、婚礼
予定の人達を集め全業者が展示をしたのです。

ブライダルフェア直前、腹部の激痛で明け方病院で検査、検査後
点滴をすると痛みがスーッと引いた為、帰る気でいると入院です。
検査の都合だと思うけど結果1ヶ月の入院となりました。
しかし入院3日目、もう痛い所はないし2日間ゆっくり寝られて
退屈ですから、医師に言いました。

「先生、ただ寝てるだけだし、緊急だったから仕事の段取りだけ
でも付けてきたいから外出させてください。 何時に戻ってくれ
ば良いですか?」

「就寝が9時だから、午後9までに戻ってきてください」

で、行ったのはブライダルフェアでした。
当時は凄い人が来場して活気があり、一日接客と説明仕事をして
病室に帰るのを数日繰り返しました。
1ヶ月間は長く考える時間もたくさんありました。

この流れは美容室をやってみろって事なのかなぁ・・・
鬼が出るか蛇が出るか分からないけど、これも人生かもしれない。
そう考えると役員だった職場を一年掛かりで退社したのです。

それが前職の美容経営者であり、その流れから今があります。

誰もが同じか分かりませんが、僕の経験則では流れに乗って動く
からでしょうか比較的楽に進むし、美容室経営もそろそろ終わり
だと思い始めた時、父親逝去の一報から始まったのが、あんしん
サポートですから、その後の流れもスムーズでした。

ある日突然目の前に現れ、否応なく進んでいく流れだから慌ては
しますが、その流れを冷静に、客観的に捉えてみることです。

何かに例えるなら・・・川を泳いでると思ってください。
人は慌てると川上に向っているか、川下に向かっているのかさえ
分からなくなる事があります。

川上に向かって泳ぐとは、流れに逆らって泳ぐことです。
時速5㎞で流れる川を、時速5㎞で泳いだら停止と同じです。
時速6㎞ならわずかに進みますが、4㎞なら流されることになる。
流されまいと頑張れば、少しは進めるかもしれません。
しかし目的地までずっと泳ぎ続けられるでしょうか・・・
目的地までの距離さえ明確に分からず、流れに逆らって泳ぐとは
無謀とか自殺行為としか思えません。

ところが日本人は、こんな無謀を称賛する傾向があります。
そこにあるのは、不可能を可能にした勇者、死にかけながらなお
頑張った勝者・・・と言われるかもしれませんが、途中で挫折や
時には辿り着けず息絶えることもあるのです。

これでは単なるお馬鹿さん・・・としか僕には思えません。
生か死かの無謀な賭けをするのでなく、どんな事があっても生き
抜く事、例えそれが人の目には惨めに映ろうが、哀れに映ろうが
死んでしまったら終わりなのです。 
自分の精神が正常である限り、絶対選択してはならないのです。

そこで流されている方向を正確に確認する為、流れに身を任せて
みれば、すぐに流されている方向が分かるはずです。
自分が行きたい方向に流れていたら、身を任せれば楽に進みます。

しかし流れが逆だと分かったら、頑張って泳ぐのでなく、比較的
楽に辿り着ける地面を探す、流れに身を任せながら探すのです。
と同時に使うべき時まで体力も温存できます。

流されながら辿り着けそうな場所を探し、到着地点を決めたなら
迷わず一気に流されながら、斜めに泳ぎきる・・・
きっと思っていたより楽に地面に立てるはずです。

なぜ泳がずに地面を探すか・・・
僕の目的は泳ぐことでなく、目的地に到着することだからです。

経営者の多くが『目的』と『手法』を取り違えて破綻します。
また世間や見栄や体裁に拘って破綻します。
経営とは世間に対しての見栄や体裁でなく、目的に向かって進み
経営を存続させることが第一目的です。 格好付ける事ではない。

これを教えてくれたのは、前職の経営者時代、僕に事業の自慢を
していた社長達です。 バブルの影響もあったのでしょう。
僕には考えられないほどの大風呂敷を広げ、数百万円程度の金は
どうでも良い・・・という感じで話す人に、只々凄いなぁと感心
した数年後、破綻する人が続出、行方知れずの人もいました。

度胸が無かったのか、自分の力量では無理だと思っていたのかは
自分でも分かりませんし、凄いとは思いましたが、真似したいと
思った事はありませんでしたから、多分その方達と僕は経営者と
しての根底にある考え方が違うのだと思います。 

きっと若い頃からの経験則や、家業の倒産経験などが、僕の経営
者としての基礎を創っているのでしょう。

今経営をされている方々にお聞きします。

あなたが経営する事業の目的地はどこですか?
その目的地を明確に答えられますか?
その目的地に向かう手法は間違えていませんか?

渦中に巻き込まれると上下左右が分からなくなるものです。
そんな時は、全身のちからを抜いて流れに身を任せると良い・・・
初めに上下が分かります。 次に流れが見えてきます。
それでも尚、流れに身を任せていると自分が冷静になれます。
冷静になったら、改めて目的を再確認してみます。
狭かった視野が開くこともあるでしょう。
つまらん拘りに気づくこともあるでしょう。
そして、己の能力、実力に気づかされることもあります。
その時は、今の現実を真摯に受け止めましょう。
自分の愚かさを悟り、無理をせず、頑張り過ぎず、動ける心身の
健康がある事に喜びを感じられたら・・・・必ず道は開けます。



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