我が人生の中で生まれた『執着を捨てれば人は楽に生きられる』
続いて僕の中にある『経営の基本』と書きました。
文末に『執着』は決して悪いことでなく、物事を成しえるには
必要な要素のひとつであるとの思いも書きました。
では、あんしんサポートの葬儀を例に、どこに執着をし、どんな
執着は捨てるかを具体的に書いてみます。
例えではなく実例のほうが分かり易いでしょうから、年末実際に
行った葬儀を例にしてみます。
確か・・・数回前のブログを書き始めた時に逝去の一報が入った
とブログに書いたと記憶しています。
一報を貰った千明は、いつものように『いつ連絡が来ても不思議
ではない会員リスト』を見ますが、百数十名の中に記載が無くて
会員ファイルから探し記載内容と電話内容を報告します。
「お婆ちゃんが自宅で亡くなり、死亡診断してくれる医師の到着
待ち、会員証には家族葬希望、墓は菩提寺にあると書いてあり、
電話では、うちが送ったパンフレットが手元にあるけど、あんし
ん館に安置してから相談したいと言ってました」との報告です。
「入会はいつなの?」
「2年前の8月入会です」
「2年前か、、寺には連絡してあるの?」
「いえ、うちだけで、親戚にも伝えてないみたいです」
「なるほどね・・・分かった」
皆さんなら、この流れで喪主の心境をどう読みますか?
僕はこんな風に考えました。
入会時は家族葬をしようと思っていたが、2年間の医療や介護の
費用は予想以上のものだった。 自宅で亡くなり親戚にも連絡を
せず、寺も連絡をしてないとすれば、近所にも伝えてないだけで
なく、近所に知らせたくないからの、あんしん館安置もあるな、
多分・・できるだけ費用を抑えて何ができるか相談をしたいって
とこじゃないかな・・・なら先手を打ってあげるかな。
自宅へのお迎えは迅速に済ませ、あんしん館の個室安置をすると
いつものように末後の水をとり、線香を供え、葬儀の最終打ち合
わせですが、70代の娘夫婦と嫁いでいる孫娘の3人です。
いつもなら「どんな葬儀を考えていますか?」と始まる打ち合せ
ですが、今回は違う言葉で始まりました。
「打ち合わせを始める前に伝えておきます。
入会が2年前の夏ですから、医療費や介護費で予想以上の費用が
掛かったはずだし、年金は年々下がっていますから、葬儀について
は絶対に無理をしてはいけません。
まずは自分達の生活を守るのが先、その中で無理の無い事をすれ
ば良いし極端な言い方をすれば、69.000円の直葬でも充分です。
自宅でずっと看てきた事が最高の親孝行ですからね、死んでから
騒ぐ必要はありません。
お婆ちゃんを看てきたお母さんは、親とはいえ大変だったでしょう。
そこは家族も理解してあげなくちゃね。 打ち合わせを始めましょう」
これを聞いたお母さんを見ると、目を真っ赤にして泣き始めました。
最終的には『湯かん納棺付き直葬129.000円』で決まりました。
電話を貰った時にした想定は、その通りだったようで、僕のほう
から先に言い出した事で気が楽になったそうです。
結局、当初家族が予定した葬儀より低料金の提示となりました。
遺骨は正月明けまで自宅に置き、近所の人達も線香を供えに来て
くれるだろうからと、3.000円までの香典は新生活と呼ぶ、群馬
特有の香典返礼品も15個ほどお貸しすることになりました。
打ち合わせの詳細は省きましたが、あんしんサポートが執着する
事と、執着しない事は以下の通りです。
---徹底的に執着すること---
『残る家族の生活最優先と家族の近未来予測をした葬儀提案』
・夫婦どちらか一方が施設に入った場合の施設費用と生活費
・夫婦どちらかが亡くなった場合の年金と生活も想定させる
・残る家族の生活を最優先するとは、我々が施行する葬儀費用も
抑えるということであり、遺骨や墓についても一緒です。
---執着しないこと---
『過去の慣習、見栄、世間体、家族の中に無い宗教感覚』
・葬儀は宗教儀式にあらず、家族が家族との別れを受入れる時間
であるとの基、自分達家族の中にさして無い信仰心は煽らない
・世間体、見栄など一切無用と説く
・葬儀社の利益など家族には関係ない為、我々の欲望は無視
こうして羅列してみると『残る家族の生活最優先』で、その他は
我々の利益も含めて一切追いかけないという事のようです。
今回のブログで一番大切な部分がどこか分かりますか?
逝去の一報が入った時点に取った行動と、家族の心境予測です。
依頼される我々が事前予測したことで、前日午後からの湯かんは
食事の用意をせずに済み、火葬当日は家族5人だけで火葬となり
清め料理も不要となりました。
葬儀費用を抑えるとは、我々の行う葬儀代金だけでなく、料理や
生花、寺への布施などの全てを考慮する必要があるはずです。
また対象者が土地建物など、資産を所有している場合の名義変更
手続きに掛かる費用等も、分かる範囲で伝える必要があります。
葬儀社、料理、宗教者、花屋、返礼品など、ひとつひとつ別途の
業者ですが、家族の財布はひとつです。
各業者が利益追求したら、家族は堪ったものではありません。
だからこそ、メインである葬儀を担当する我々が、自分達も含め
葬儀に係わる全ての費用を抑えるアドバイスをし続ける。
ひとつの事に、とことん執着すれば、相反する部分は執着したく
ても出来なくなる場合も多く、例えそれが我が利を失うものだった
としても貫き通すことが、我が人生を肯定することだってある。
それが胸を張って生きられる事に繋がるからだ。
誰もが終幕後の費用を心配することなく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えていたか嘘のつけない自分日誌でもあります