前回の『執着を捨てれば人は楽に生きられる』を書いて思い出し
たというか、事業を始めて25年以上の中で、よく聞かれた言葉
であり、あんしんサポート設立後は更に多く聞かれた言葉がある。

『なんで始めたのですか?』
『利益は少ないと思いますが、どんな経営をされてきましたか?』
『これからの目標を教えてください』

『なんで始めたのですか?』
この質問は会う人、会う人に必ず聞かれた事で、うんざりでした。
それを解消する為に書いたのが『一銭も要らないお葬式』でした。







-----完売して在庫はありません--------


『これからの目標を教えてください』
目標は利用者の話を聞けば自然に湧き上がってくるものです。
僕の場合、無理やり設定することはありません。
また時代の流れと社会情勢で刻々と変化するものでもあります。

そして
『利益は少ないと思いますが、どんな経営をされてきましたか?』
どんなって言われてもなぁ・・・こんな経営です。
これじゃ回答になりませんが、実はこの部分に『執着』の文字が
大きく影響しているように感じます。

と、ここまで書いたら搬送が入ってきました。
中々のんびり過ごさせて貰えません。

2年ほど前に入会され義母の家族葬と書いてありました。
決まったのは『湯かん付き直葬』ですが、この辺りも執着無用の
話しをした結果ですから、近いうちに書いてみます。

話しを戻して『どんな経営をしてきたか』についてです。

経営者の器によって、事業規模によって、全く異なるのですが、
僕自身が現在零細企業の経営者ですし、最大で60名程度の事業
経営しか経験がありません。  その点を踏まえてお読みください。

僕の知る限りではありますが、多くの経営者は事業拡大、成長と
いった類の言葉が好きで、縮小、撤退、などを極端に嫌います。

経営が思わしくなくなれば縮小、撤退も珍しいことではないし、
ある意味当然の判断だと思うのですが、何とか黒字に転換させる
べく踏ん張る・・されど赤字を抱え続けての転換は、事業設立時
より何倍も大変な訳で、最後には廃業したり、時には倒産も決し
て珍しくはありません。

個人的には何故早い段階で縮小しなかったのか!?
と思いますが、その判断を鈍らせるのが『執着』そのものです。

》経営能力が無いと思われたくない
》頑張って拡大した事業を縮小などできない、、したくない
そして、何とかなるのではないか・・・その結果が倒産です。

自分自身への執着、世間に対する見栄の執着、でしょうか・・・

当時は最大1億円の借金があった時期もあり、知り合いが倒産を
したと耳にすれば『明日は我が身だな』と思ったものです。

もっと早い段階で手を打てたろうに・・・
何度もそう思うことがありましたが、わりと羽振りの良いことを
言い、派手な人のほうが多いのか、そんな人のほうが印象が強い
からか、記憶に強く残っています。

前職の経営者当時、何となくなのですが、凄いなぁといつも考え
ていた経営者像がありました。
それは大きな事業をしている訳でもなく、経営者と呼ばれる事も
あまりないだろうと思うのですが、八百屋さんとか、魚屋さんの
引き売りをしている行商人の人なのです。
『同じ商売を何十年も続けている事への尊敬』でした。

人生に於いても、事業に於いても、終幕や倒産が対岸の火でなく
明日は我が身だと本気で思えたら・・・
いかに執着が馬鹿げているか、執着が自分をどん底に突き落とす
引き金なのだと・・・分かるのだと思う。

話しのついでだから、ちょっと書いておきます。
経営者未経験の人だから言える言葉で、残念ながら正論ではない
言葉があるので書いておきます。

仮に倒産の負債総額数億円・・・と分かると、せめて1億円位の
時に商売を辞めていれば倒産せずに済んだのにね。
これに近い事を言う人はもの凄く多いですが、この人達は借金を
した経験が無いのでしょう・・・じゃ無かったら出ない言葉です。

通常事業返済は10年程度です。
1億円の借金だとしたら月額返済は100万円ほどでしょう。
これをサラリーマンになって返せますか?
そこで担保があれば、更に借金をして出店し、その黒字で穴埋め
しようとする・・・これを繰り返した結果、担保が無くなり借金
出来なくなった時が倒産なのです。

5.000万円の借金でも月々50万円の返済ですからサラリーマン
への転職では難しいのです。
倒産を擁護する気はありませんが、それほど単純ではないという
事だけは知ってあげて欲しいと思いますし、それで何とかなるの
なら大多数の経営者はそうしているはずです。

そして最後に僕の経営理念には・・・
今の収入で存続できない事業は、いずれ廃業に追い込まれる。
赤字だから売り上げを上げる・・・非常に難しい事だと知れ・・
それが出来るなら、今の収入ではないはず。
絵に描いた餅は、どんなに上手でも絶対に食えないと知れ・・・
まずは今の収入で黒字が出せる事業に改革すること。

10年続けられたら事業として認めよう。
20年続けられたら経営者として認めよう。
25年続けられたら素晴らしい経営者だと自画自賛しよう。

・・・だから、搬送から始まり、納棺師、チラシ印刷、遺影作り
経理、それらの全てを自分達で行うことになるんでしょうね。

どう考えても大きな企業には成らない、成れない経営手法ですが
最も倒産し難い経営手法だとも言えます。
経営者として自分の器の範囲で行っているのが、武井という人間
なのだと感じます。

今の僕は『理想』や『目標』や『世間』や『見栄』から進むべき
道を模索するのでなく、利用者の本音を軸に自分の器で乗り越え
られる事をしている経営者なのでしょう。

最後に書いておきますが『執着』は悪いことではありません。
執着があるから大きくもなれるし、成長もするのです。

僕の言葉は『人は執着さえ捨てれば楽に生きられる』なのです。
あくまで楽に生きる為の指南だと申し上げておきます。


にほんブログ村 その他生活ブログ 葬儀・法事(個人)へ
誰もが終幕後の費用を心配することなく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えていたか嘘のつけない自分日誌でもあります