あんしんサポートには申請者情報さえ事前に登録するなど、必要
事項を全て決め、費用も前払いしておけば、逝去時には家族親族
など誰も姿を見せなくても、搬送から火葬から遺骨供養まで全て
執り行う『完全委託パック』があります。

そのきっかけとなった方が亡くなりました。
今から3年前の春、突然の電話で遺体のお迎え、火葬、散骨まで
全てして欲しいと電話をくれた方がいました。

親族には一切世話に成りたくない、知らせても欲しく無い、墓は
あるが入りたくない、更に散骨は自宅の庭に・・・
と電話の向こうで言ってるのを聞き、面倒臭せぇ爺さんだなぁ、
「出来ない相談ですから受けられません」と断りました。

申請者が誰も居なければ、最後は行政が申請人になるのですが、
家族親族がいれば間違いなく行政から要請が行くので、家族親族
には一切知らせず・・・は無理なのです。

何度か断りましたが、その度に「ならば・・」「では・・」と、
電話をよこすので最後は「申請人に成れる人が了承してくれたら
入会手続きをとりますよ」と伝えてから、暫くすると社協だか、
包括支援センターだかの人から連絡があり「対象者の弟さんが、
申請者になってくれる事になりましたので、これなら引き受けて
頂けますか?」との連絡をうけました。

約束した以上、受けざるを得ません。
・遺体は自宅や病院まで迎えにいき、その場で申請者欄に記入
・前橋あんしん館に搬送して納棺安置
・火葬に必要な手続きは全て、あんしん館で行う
・前橋に親族はなく、対象者居住市の火葬場で火葬する
・焼骨は当方散骨場にて全散骨、という内容で了承しました。

25年7月、入会寄付金と税込火葬散骨代金を、自分では動けな
くて、訪問看護師さんが振り込んで入会しました。

その後も何度か電話をくれましたが、今年の3月「これが最後の
電話になると思うけど、その時は打合せ通りにお願いしますね」
と念を押され、その2か月後には社協だかの人から「きわめて、
危険な状態ですが、その時はお願いします」と再確認でした。

11月23日夜、申請者となる弟さんからの電話で「一日か二日
だと思いますが、その時はどうすれば良いですか」と、初めての
連絡を受けてから数時間後、24日午前3時逝去の一報が入る。

午前3時頃から雪が降るとの予報でしたが、何とか雪が降り出す
前に搬送が済み、その朝、翌日と別の葬儀を済ませ、数日続いた
葬儀の事務処理をしていた午後11時、突然の電話で親族が火葬
場に行きたい、遺骨は親の墓に入れたいと、申請者とは別の弟と
名乗る方から電話が入る。

初めは故人の希望と違うから、その話しは受けられないとお断り
するが、自分の価値基準で物を言う人で話しが噛み合わない。
何度も、故人の希望を叶えてあげたほうが良いのでは?と言うが
受け入れようとしない・・・

仕方なく故人の希望を再度伝え「それでも墓に入れたいと言うの
ならお渡しします」と言って一旦切る。
数十分後、申請者になった弟さんからの電話で何度も謝りながら
でしたが、別の兄妹の意見のほうが強いのか引き取りたいと言う。

火葬場で生花を飾りたいと言うが「火葬場が了解するはずもなく
それは出来ない」とハッキリ伝えたにも関わらず、予定通り火葬
場に到着すると、係の人から「この花は困ります」と言われる。
人の話をちゃんと聞いてないのか、実に迷惑な親族でした。

火葬するまでは、全て我々が手配しましたが、拾骨からは家族に
任せて帰ってきました。 
腹も立ちますが、それ以上に問題なのは故人の意志が無視される
現実が起こったことです。

自分の死後について、全てを自分で決め、費用も払い、我々だけ
でなく社協(地域包括)、ケアマネ、訪問看護師、最終的に入院
した医療期間の人達全てが、対象者の意志を尊重しようと何年も
動いたのに、異母だか、異父だかの兄弟が全てを覆す・・・

本人は墓に入りたくないと言ってたのに「墓に入れてあげたら、
故人も満足してくれるから・・・」言ってる事があり得ない。
何年も音信不通だった人が故人の事など分るはずもない・・・
どう考えても、くだらん自己満足でしかない。
自分でしている事に、自分で酔っているだけのことだろう・・・

今まで何人も完全委託をしてきたが、初めてのケースでした。
まさか、こんな事が起こると思っていませんから、契約の内容を
書面に残してある訳でもなく、だから我々が折れたのです。

これからの完全委託パックは依頼内容を書面にして、自署と捺印
して貰い、我々と対象者で保管するしかなさそうです。

他市の斎場から帰る直前まで、申請者になった弟さんには過去の
全ての流れを話しましが、その方は我々の言う事、主張している
事が正しいのも分っているし、そこまで故人の意志を貫いてくれ
ようとする姿勢に誠意と信頼できる人達だと十二分に分ります。
ただ弟が強くて受け入れないのと、自分のしている事を美化して
いるだけなのですが、、、と言っていました。

最後までスッキリはしませんでしたが、言いたい事は言い、主張
すべき事はしっかり主張しましたから、故人との約束を最後まで
守ろうとした誠意だけは、故人にも伝わったと思うしかありません。



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