孤独死で警察署に運ばれた方の姉妹という方から、葬儀依頼の
電話が入ったが、突然の事でパニクっているのか、話の内容が
要領を得ないようでした・・・ 依頼者から友人の名前が出た
ところで電話を代わり、改めて聞くと僕の友人の従兄らしい。

僕の友人に連絡をとってから掛け直すと、一旦は電話を切って
友人に連絡を入れる。 67才の従兄が自宅で亡くなっている
のを発見し警察署に連れていかれたらしいが、数年前に別の従
兄の父親、母親とうちで葬儀をした隣の家らしいと分る。

警察から午後2時30分に引き渡しできると言われたらしいが、
遺体の状況が全く分らない・・・が、何日か経ってたようだと
妹さんのくちから出た言葉から、晩秋とは言え腐敗臭がしてる
可能性が高いと判断、すぐに隣接市火葬場の冷蔵庫安置の空き
状況と火葬予約の確認に入る。

警察で引き渡し、死亡診断書申請者記入、死亡届提出、そして
火葬場の冷蔵庫に安置まで終了は午後5時が限界です。
相手は行政ですから融通は効きません。

死亡検案書の受取りは、医者の指定時刻より少し早めに行くよ
う妹さんに指示をして我々も若干早めに動きだす。
腐敗臭があると予測し棺を積んで向かうことにしました。
この時に必要なのが棺専用のストレッチャーです。



午後2時10分隣接市警察署に到着、遺体引き取りに来た旨を
受付に話すと、刑事課の刑事が来てくれ、間もなくして妹さん
夫婦も到着、すぐに霊安室に入るが普通なら検視台の上に寝て
いるはずの遺体がない・・・ということは冷蔵庫の中・・・と
いうことは間違いなく腐敗が進んでいるはずと判断して、準備
して霊安室に入る。

下段の冷蔵庫を開けると白い遺体袋が見え『大きい人!?』と
思った時、刑事さんが言う「大きな人だし、かなり腐敗は進ん
でいたので連れてくるしか無い状態でした」
想定内の事と驚きもしませんでしたが、手伝って貰い棺に納め
る直前、遺体手首に巻いておく認識タグを外すため、遺体袋の
チャック開けると肌の色が、結構な範囲で緑や赤になってる。

この状況だと相当な臭いもしていると分り、すぐに消臭剤では
なくタンスの中に入れる業務用袋の樟脳(しょうのう)を全て
身体の下と上に撒いてフタを閉じた。

そこから市役所で手続きを終えるのに1時間掛り、その後予約
しておいた斎場冷蔵庫に納めたのが午後4時40分でした。
早め、早めの行動が功を奏した結果となりました。
あと30分遅ければアウトでした。

過去にも何度かありましたが、僕が孤独死の遺体を割と詳細に
書くのには、僕なりの理由があるからです。

『孤独死』という言葉、誰でも何度も聞いているでしょう。
この何度も耳にしている言葉だからの怖さがあります。
簡単に言うと言葉に対する『慣れ』です。

一般の人が知ってる遺体は、目を閉じて眠っているような顏や
姿だろうと思いますが、逝去から時間が経過した遺体は、そう
簡単なものではありません。

今回の遺体、死亡検案書には11月9日頃死亡推定とある。
死亡から8日間ほど経過しているということです。
腐敗が進行し、異臭を放ち家族が会える状態ではありません。
夏場や暖かい時期なら、ウジが湧き、ハエが飛び回り、遺体の
下はぐっしょり濡れ、慣れた刑事でも吐き気がするほど凄惨な
遺体となることだってあるのです。

僕なりの理由とは『孤独死は凄惨な遺体になる場合もある』と
いうことを知って欲しいのです。
誰にも会えない、会わせられないどころか、集まってくれた人
達が臭いで気分を悪くするような遺体になりたいですか?
いやでしょう!? だから一人住まいの人達は年齢に関係なく
誰でも孤独死対策だけはしておきましょうって事です。

朝と夜の2回で良いから、毎日欠かさず連絡を取り合う。
親戚や家族がうっとおしいと言うなら、独居者同士の連絡でも
一向に構いません。 朝はAさんがBさんに連絡し、夜は逆の
連絡をする・・・これだけでも孤独死は減るし、凄惨な遺体は
激減するはずです。

この問題は過去にも何度か書きましたが、世の中全体の流れが
独居者には定時連絡が当り前・・・と思えるまで書き続けなけ
れば駄目なのだろうと思います。

あんしんサポートの経験した孤独死は33才からあるのです。
人は年齢で亡くなる訳ではありません。
いつ、なにが起きるか分らないのが人間という生き物です。
年寄りは勿論、若くても安心はできません。

とは言え圧倒的に多い孤独死は老人と呼ばれる人達です。
出来れば、昔のように二世代、三世代が同じ屋根の下で暮らす
のが最善の方法なのですが・・・

親が老人枠の人達は是非一度、親との同居を家族で話し合って
みてください。 親との同居って面倒なことも沢山ありますが
『優しさ』『老人の知恵』『子育ての協力』など自分達より、
子供達にとって良い部分も沢山あるものです。

また孤独死をさせた事への後悔は・・・一生引きずる事になる。

うちには痴呆で施設入居するまで、奥さんの父親がずっと同居

していましたが、我々も子供達も、その部分の後悔は一切して

ないし、子供達にとってお爺ちゃん、お婆ちゃんは良い思い出と

して心に残っているようです。

その思い出を残してあげられるのは、親である自分達だけです。


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