『誠意』『真心』の文字を宣伝文句だけで使用する葬儀社は
多くあるけど、実践している葬儀社は少なく、実践している
つもりでも、決めるのは相手の感覚だから難しい。
誠意、真心って私利私欲なく相手の立場で物事を考えた言動
をして、それが受け入れられた時に成立する言葉ですかね。
『相手に受け入れられた時』この部分が非常に難しい・・・
普段がどんな生活をし、どんな考え方をし、どんな経済状態
かも知らない人を相手にする訳です。
どんな仕事でも相手の詳細を知らないのは同じでしょうし、
相手が求める部分も個々に違う訳で、その全てに対応できる
なら問題ありませんが、現実は何処でも無理でしょう。
どんな要求にも対応できるとしたら、高額な設定をするしか
ないでしょうし、うちの根底が弱者支援ですから論外です。
でも我々は利用者にとって最善の選択をしたつもりで話しを
しても必ずしも正解ではないので難しいです。
味覚とか嗜好や基準のようなものでしょうか・・・
・薄味を好む人もいれば、濃い味を好む人もいます。
・辛いものが好き、甘いものが好きなど人それぞれです。
・お金は無くても食費は掛ける人もいれば、服飾には掛ける
人もいれば、車だけは贅沢する人もいます。
葬儀についても同じです。
僕は葬儀や墓など死後の事より生きている今が大事であり、
どうすれば終幕までの人生を、普通に過ごせるか、あるいは
少しでも謳歌できるかを優先すると、死後の費用については
とりあえず最低限に抑えた場合の人生を設計する事が優先と
考えている人間です。
その問題を本人より客観視できる我々が、最適な方法を提示
することで依頼者自身が気づいてくれたら良いと考える。
しかし終幕までの人生設計はできるようで出来ないのです。
施設に入ったら年間180万円×入所年数のお金が必要です。
今は元気でも、いつ痴呆が入るか分らない。
いつお一人様になるか分らない。
こんな事は誰でも分っているはずですが・・・現実は違う。
いつかは死ぬけど、すぐでは無いと思う人が99%・・・
ボケるかもしれないと思うけど、まだまだ先の事と思う。
年金が減るのは分りきっているのに何とかなると思う人達。
貯金なしが1割以上で、200万円以下の貯金しかない人って
25%もいるし、貯金額1000万円未満が半数以上なのが
老人世帯の現実調査だと言われているのです。
平均寿命83才だとして健康寿命は10年ほど下がるので73才
まで普通に生活し、73才以降は医療費や施設入所費が必要
だとしたら、半数以上の人達は間違いなくアウトです。
・・・と書いてみても、圧倒的多数は頭では理解できても、
自分の事としては捉えられないのが現実です。
その人達に将来を考えたらと葬儀や墓などの費用よりもと、
色々提案しても理解されない現実は沢山あるだろうと思う。
僕がブログの中で時々、面倒になるという表現をする多くは
この辺の部分が多いんです。
利用者の将来設計を現行の年金から考えると、無理はさせら
れないと抑えた提案になる事も多い。
それは利益の減少をも意味するのですが、必ずしも利用者の
意に沿うとは限らないのです。
先日もこんな事がありました。
墓を守る人がいないし、子供は墓はみないと明言しているの
ですから、墓は建てず散骨と永代供養墓で対応したほうが、
この先、自分の生活も含め安心だと思うと提案しましたが、
結局、墓を建てているとの事です。
葬儀でも、墓でも自分達の利益を減らして提案しても決して
良い結果にはならないし、相手に伝わらない事はある。
何度も何度もそんな経験をし続けると、その気力が失せる。
でも相手が悪いわけではない。
こんなケースこそ、大きなお世話なのです。
大きな感謝もされ、大きなお世話にもなる・・・
人を相手にする・・・つくづく難しいと感じる。
誰もが終幕後の費用を心配することなく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えていたか嘘のつけない自分日誌でもあります