昨夜、そろそろ帰ろうとした午後11時43分事務所の電話が鳴る。

明らかに搬送依頼だろうと聞き耳を立てると、隣接市の病院お迎え

あんしん館安置の直葬希望のようだと分り、ドライアイスを取りに

行き、全ての準備を済ませ午前1時搬送に向かう。

病院に到着すると看護師さんから「少しお待ちください」と言われ

待機していると、何処かの病室から患者さんのうめき声も聞こえる。

出来れば入院したくねぇな・・・ 日々健康でいなきゃな・・・と

健康で過ごせる事に感謝する自分に思わず苦笑する。

あんしん館納棺安置、末期の水、線香を供えると時刻はすでに午前

2時30を過ぎているが打合せに入る。

詳細は避けるが、好き勝手に生きて、離婚、夜逃げ、あげくの果て

病気を抱え30年後に戻った父親であり、元夫でしたが、再入籍した

のだと言う・・・決して豊かではない昭和7年生まれのお母さん、

今まで苦労の連続だったであろう事はすぐに分り、火葬で充分だし

写真が必要なら自宅にある手札版を100円ショップの写真立てに入

れて飾れば良いから始まり、家族がそうしなければならないと思い

込んでいる殆どを「要らない・不要」と断言することで、要不要の

最終判断をする家族が自分達の思ったように決められる。

その意味で我々の言葉による影響が非常に大きいのを感じます。

家族から聞かされた本音の生活状態を最優先した上で、葬儀用品の

要不要を僕らと相談しながら決める家族は、何十年も前からの知人

のように、ちと不謹慎ではありますが、時に談笑にもなる和やかな

雰囲気の中で打ち合わせを進めます。

要不要を家族で話し合いながら決めた内容は以下の通りでした。

》公営墓地があるので直葬パック一式 89.000円(税込96.120)

》隣接市の病院お迎え追加料金    10.000円(税込10.800)

》納骨と墓誌彫り双方で       25.000円(税込27.000)

   即日納骨のカロート開閉と納骨と目地留め

 墓誌石版に戒名・俗名等を後日彫ります

》戒名布施(居士戒名)       20.000円(税込20.000)

》白木位牌               1.000円(税込1.080)
--------------------------------------------------------------------
                  総合計税込 155.000円

こうして改めて書き出してみると、火葬、納骨、墓誌彫りまで全て

完了しても15.5万円・・・僕が見ても安いと感じます。

納骨、墓誌彫りの機械と自動車を自社所有、協力してくれる寺社が

沢山あること、そして何事も相談してくれる会員さん達の生の声が

リアルタイムですべき事を教えてくれ、その対応に快く引き受けて

くれる援助者の存在がある・・・俗に言う好循環なのでしょう。

午前4時過ぎ・・・打合せも済み外が明るくなり始めた頃家族から

聞かされた言葉「プロから要らない物は要らないと言って貰えると

自分達の思った事で良いんだと心強くなります。 葬儀屋さんなら

あれも必要、これも必要と、総額が高くなる打ち合わせが当たり前

だと思っていたけど・・・こんな方々もいらっしゃるのですね。

涙が出るほど嬉しくて、有り難くて前橋に住んでて良かったです」

聞いた時、僕のくちから出たのはちゃかしたような言葉でしたが、

心の中では僕のほうが泣きそうでした。

正確な葬儀の知識を持った家族など皆無に等しいほどいません。

殆どは過去の慣例が正しくて、そうしなければならないと思い込ん

でおり、そこには家族の財布事情など一切関係なく葬儀社や宗教者

の言葉が優先される。 支払する家族を無視したあり得ない現実が

まかり通ってきた明らかに間違った慣例です。

どんなに葬儀が大事でも、残る家族の生活より大事な葬儀など絶対

あってはならないのです。 

きっと多くの人は、現行の葬儀に疑問を持っているばすです・・・

しかし周囲がそうしているから、葬儀屋さんが言うから、宗教者が

言うから、仕方なく従ってきただけのこと。 葬儀屋はそれが当然

だと思っていたのに、家族の援護射撃をしてくれる人達がいる。

プロがそれで良いと言うのだから・・・と安心するって事です。

葬儀屋さんの吐く言葉は家族にとって『時に特効薬にもなり』時に

『毒薬にもなる』ってことなのでしょう。

自分達の成績しか考えず、何でも売り付ける人、自分の収入増の為

自分でも不要と思っている物さえ誘導商法、霊感商法で売り付ける。

宗教という魔法の言葉で、家族の生活を無視した布施の要求など、

葬儀社や宗教者の言葉は、人の死という特殊な条件下での事だけに

良薬が最善ですが、せめて毒にも薬にもならない言葉ならね・・・

この家族が言った「こんな方々もいらっしゃるのですね」って事は

殆どの人達は違うと言っているのです。

それが家族の目に映る今の葬儀業界なんだと教えられました。

↓↓↓↓
  
にほんブログ村


ひとつひとつの葬儀を確認・反省・向上する為に書く実践日誌でもあり、

これから葬儀を
経験される方々が後悔しない為に役に立てたらとの


思いを込めて書いています。 宜しければクリックをお願いします