仕事仲間の花屋社長の葬儀が昨日済みました。

家族の予想を大きく上回り約400名の葬儀となりましたが、これも社長の人柄だし

本人は焼くだけで良いと考える人でも、残る家族は世間があるので、そうはいかず

といった中、あまりに突然な幕引きの為、受けてある仕事をどうするか? どんな

葬儀にするか? 費用はどうするか? 何処にご安置するか? などなど何をどう

すれば良いか全く分らないどころか、検視からいつ戻るかも分らず、とりあえずは

あんしんサポートに連絡だけはしておこう程度のスタートだった事でしょう。

警察署から戻ってくるのは裸ですから寝巻を用意したりと、事情を知る我々だから

用意、準備できる事は全て行い、家族に伝えるべき知識は伝える手法をとりました。

 電話連絡の段階で「仕事が好きな人だったから仕事場にご安置したい」と言われ

気持ちは分るので少し戸惑いました。 しかし同時に「月末まで受けた仕事だけは

やりたい」と故人の意思も含め家族の意向を聞かされた事もあり、仕事場の安置で

なく、あんしん館個室安置を勧めました。 

その理由は弔問に来てくれる人に対し無視して仕事をする訳にいきません。 

来てくれた人達は間違いなく、亡くなった時の話、生前の話をしたがります・・・

が、それは仕事に支障を出すことに繋がるのも間違いないからです。

結局ご安置された6日間の弔問者は70名を数えました。 中には家族不在の部屋で

故人一人がいるのですから、あーだ、こーだと、自分の価値観だけで何か言う人も

いますが、建前だけでなく様々な家族目線から対応するのが、あんしんサポートと

いうNPOであり、家族の為にだけ葬儀を行う事に徹する事で、時に親戚や周囲と

家族の意見が合わない場合、矢面に立つのはいつも我々ですから気にはしません。

 家族、スタッフ、本当に近い親族の人達とは、建前抜きで本音で話し対応もして

仕事が一段落ついた6日目、13名で2時間掛けて温かい空気の中、湯かん納棺を行い

社長の棺を乗せた寝台車で、桜が道路沿いに咲いている通称、国体道路を北側から

入って途中、河原側に降りて花見をして貰い、仕事場であるお店まで送りました。


仕事場奥にある休憩所横にストレッチャー毎安置、みんなが昼食をし我々も一緒に

と声を掛けて頂きましたが、仕事があるので一旦戻って、夜迎えに来るからと車に

乗り込みエンジンキーを回した途端、うんともすんとも言いません。

 結局はバッテリーが上がっただけですが「社長がもう少し居てって言ってるよね」

との話になり、これもまた後で良い思い出のひとつとなってくれるでしょう。

 葬儀は大人数の会葬ですから、葬儀、告別式の流れは皆さんご存知の通りですが

家族の希望、要望を叶える為に我々が何をどうすれば良いか、家族の気付かない事

家族の知らない事、その全てに先手を打って家族の思いに応えるのが、葬儀のプロ

である我々の仕事というスタンスは、大きな葬儀でも全く変わりませんでした。

 大きな葬儀でも、小さな葬儀でも、葬儀が済んだ家族の心の中が『良かった』と

思えるなら、あんしんサポートで引き受けた価値があったということでしょう。

 そう考えると、儀礼的な、形式的な葬儀を好む家族は、あんしんサポートへ依頼

すべきではないですし、きっと我々も引き受けないでしょう。

 最後に・・・

一緒に仕事をしてきた仲間の葬儀、それも突然の悲報、すぐに受け入れる事ができ

ない自分でしたが、今回に限って言えば7日間という長い時間が良かったと思う。

僕もですが、家族も受け入れる猶予が持てたのが何よりです。

ゆすれば起きそうな寝顔のような顔で、7日後になっても顔が黒ずまず誰が来ても

違和感なく会って貰えるような『口閉じ』『死化粧』をし、硬直した手足の緊張が

緩むのを待って合掌を組み、検視から戻ったご遺体は、何の処置もされてない訳で

すから、全ての処置も行い、後々嫌な臭いの出ないよう対処、でもドライアイスの

追加は一回だけで済ませるなど、自分の持つ技術と知識を最大限利用して、仲間の

ご遺体を最善の状態で維持し、家族にも様々な後方支援を行えた葬儀ができました。

 そして何より、家族が温かく送ってあげられたと思ってくれた事に安堵します。

突然の訃報から8日間が経ち、ようやく仲間の逝去を受け入れ始めている自分にも

気付いて、やっと弔いの言葉が出せるようになりました。

「社長、設立当初からずっと支えてくれて、今あんしんサポートが、こうして多く

の方々の、特に弱者の方々の葬儀支援を行い、喜んでもらえるのも花園という花屋

さんがあったからこそです。本当にありがとうございました。 あの世に行っても

綺麗な花で、みんなの心を和ませ続けてください」

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