22日午後10時を過ぎたころ電話が鳴る。

予想通り搬送依頼の電話、高崎市の特養に入所中だったお婆ちゃんが亡くなったとの

連絡をくれたのは都内在住の息子さんから、日曜日で群馬に来ていたようです。

ドライアイスを準備し、寝台車でお迎えに行くとベッドにお婆ちゃんの姿があります。

4年前の記憶が蘇ってくるほど顔は当時と変わらない印象、このお婆ちゃん4年前から

知っている方で著書『一銭も要らないお葬式』にも登場するお婆ちゃんでもあります。

 平成22年の秋、散骨の詳細を聞かせて欲しいと電話が入りました。 自動車はなく

歩くのも押し車を杖代わりにしていると聞き、高崎市ではありましたが訪問しました。

古い住宅街の中にある一戸建て民家を借りて一人住まいしているらしく、部屋の中は

所狭しと色々な物が置かれ、万年床の上に猫が座っている「どうぞお座りください」と

言われても何処に座ったら良いか迷うような部屋で話しをしました。 

「お寺が運営しているNPOを紹介されましたが詳細が届くと、合葬墓に入れるのに

17万円ほど掛かり、毎年管理費として数千円必要との事、自分は利用できない無理だと

考え『山林自然散骨税込8万円』のあんしんサポートに連絡したそうです。

年金の一人暮らし、家賃を払い、医療費を払うと生活が大変だろう事は誰でも分ります。

同席した千明に聞きます「散骨費用下げるとしたらいくらまで下げてあげられる?」

「粉骨を業者依頼せず、容器変更して、複数同時散骨なら3万円まで可能だと思います」

「お婆ちゃん、聞いての通り何とか5万円まで下げられそうだけど、それで良いかい?」

「はぃ結構です。来月年金が入ったらすぐにお支払します。ありがとうございます」

この時は粉骨する機械が何十万円もすると知りませんでしたが、これを機に8万円散骨

から5万円散骨へと変更したのです。

 それから一週間ほど経った頃でしょうか、事務所の向かいに座って事務処理していた

千明に言います「なぁ あのお婆ちゃんから散骨代5万円貰うのに何となくためらいが

あって、このまま進むと僕の中に後悔が残りそうなんだけどさ・・・」

「代表何か考えてるんでしょ?」の言葉に、すっかり見透かされているようです。

「散骨は間違いなくこれから増えるはずだけど、一般の人達は知らないでしょ? それ

から、このお婆ちゃんのように遺骨を自宅に抱えて悩んでいる人って結構いるかもしれ

ないと思うと、一度だけの企画で『一万円合同散骨』はどうかなって思ってる」

「一万円ですか? どんな内容?」

「うん、事前に遺骨は持ち込んで貰って粉骨しておき、当日前橋の事務所に各自で集ま

って貰い、マイクロバスをチャーターして現地に行き、散骨してから前橋の事務所に戻

って解散で1万円・・・多分赤字になるだろうけど、広告宣伝費だと思えば良いかなと

も思うし、お婆ちゃんも1万円だけで済むから生活への影響も少ないしさ」

「うん それ良いかも」千明も賛成してくれ、すぐお婆ちゃんに電話をします。

「お婆ちゃん散骨の事だけど、5万円じゃなくて、1万円で実施するから、来年4月の

初旬まで待ってくれる!? 散骨場の近くまでバスで送迎もするけど・・・どう?」

それを聞いたお婆ちゃんは喜んで待つと言ってくれました。

 翌年4月8日お釈迦様の誕生日とも言われる花祭りの日に実施しました。 


その日は
上の息子さん夫婦も同行して、弟さんの散骨をしたのですが、その時の写真が

あるので
今回お婆ちゃんも同じ場所に散骨することになっています

 当時は家族が同行して自分達の手で散骨していましたが、今は全て代行散骨だけです。

理由は山林といっても、場所さえ分れば誰でも行ける所なので、自宅の押し入れなどに

保管してある遺骨を持ち出し勝手に撒かれたら、焼骨のままですから事件になります。

結果として以降の散骨は出来なくなる可能性大ですから、現在正確な場所は教えていま

せんし、家族の同行もしていません。 そのかわり、一部焼骨を専用容器に入れ、当方

所有の永代供養墓内に33年間保管しても料金は変わらず、いつでも墓参りできるよう

設定しました。 また納骨時は同席できますし僧侶による読経も行います。 先日も納

骨しましたが、家族は信じられないくらい安いと感じるようです。

 納骨堂には1000名分の専用容器が入るよう棚が造ってあり、あと900名は余裕がある

ので『散骨+永代供養墓保管』の会員募集をしようかと思っています。 墓の無い人達

とか、墓守不在が確定しており墓閉じを考えている人達などは、自分の遺骨がどうなる

か低料金で心配せずに済めば助かる人も多いと思うからです。

 4年前の事を思い出させてくれ、これからの時代に必要な発想までさせてくれたのが

明日24日火葬して後日散骨するお婆ちゃんでした。

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