28日午前9時、いつもより少し早く事務所に来て安置室に入る。

昨晩は冷房最大にして帰ったため、ひんやりとした空気ではあるが、

死臭は感じない。 顔の当て布を外して顔を見ると昨日よりも赤味が

強くなってる!? と感じるほどだ。 いつも思うが逝去後って顔の

シワが無くなり若返る人のほうが多いと思う。

でも、くちが開いて中の綿がしっかり見えているのが気になる。

次に切開した頭部からの出血を確認するが、昨日と変化はないようだ。

最大の課題「頭部からの出血」と「死臭」がクリアできそうで安堵。

そうこうしているうちに2人も出社、今日は1時~家族で送るお葬式

午後2時30分出棺、4時頃拾骨となるのでお昼を食べている時間が

ない計算となる為、3人でガストのモーニングを食べに行った。

食べながら、各々本日の動きの確認とご遺体の頭部出血や死臭は問題

なさそうだと報告もしておく・・・ ってこうして書きながらフッと

思い浮かんだのが、映画「おくりびと」の中で俳優の山崎 務さんが

「白子の網焼き」と「クリスマスは鳥の唐揚げ」を食べながら言う。

も「うまいんだなこれが。困った事に・・・」と食べる場面を覚えて

おられるでしょうか? モーニングの目玉焼きを食べながら、遺体の

話しをしている自分達も似たようなもんだと、フッと笑いがでてきた

わけで・・・慣れとはすごいもんです。

あんしん館に戻るとご遺体を移動、湯かん納棺の式場設営をする。

準備が完了してご遺体を見ると、くちが開いて綿が出ているし、顔は

赤アザのように感じる場所もある・・・うーむ・・・

「化粧道具持ってきて」くちを閉じ、ファンデーションと粉おしろい

くち紅をさすと穏やかな顔になってくれたが、頭部に巻いたタオルが

いただけない、、だけど外す訳にもいかない。 どうすっかなぁ。

そうだ、、白装束の中にある腰巻を利用すれば何とかなるかも・・・

出来上がったのが写真で、見ようによっては韓国の死装束「すい」の

帽子のようで、下のタオルの文字が少し透けてはみえますが結構良い

感じになりました。 僕が勝手にした化粧、くち閉じ、帽子ですから

料金の追加はありません。 家族もできる範囲で・・・と考えてるし

普通のご遺体と同じようになるとも思っていないのです。

でも受けた我々は、普通に湯かん納棺をさせてあげたいのです。


午後12時30分、家族8名が集まりました。

都内から来た故人の妹達は「解剖したって聞いたから、どんな姿にな

ってしまったかと心配してたけど、綺麗に化粧してあって普通でホッ

とした」と言ってました。 

午後1時8名で「家族で送るお葬式」開式です。

湯かんの儀、納棺の儀でほぼ1時間、生花と式場の準備で5分ほど、

その間にトイレを済ませて貰ってお別れの儀20分で出棺でした。

予定通り午後2時30分出棺、霊柩車に乗った娘さんが言います。

「ほんと良かった、父親の葬儀の時は何の印象も残らなかったけど、

今日は家族葬!!って感じがして、温かくて、泣いたり、笑ったりで

宣伝しちゃいます」と喜んでくれたようです。

今回は腐敗や出血の心配をしましたが、目が開いていたり、くちが開

いているなどご遺体の状態はさまざまです。

家族の希望があろうと無かろうと、家族が見てないところで少しでも

家族の心が安らぐように、、安らかで穏やかな顔のご遺体になるよう

プロとしての技術を駆使する・・・これも依頼を受けた我々がすべき

裏側の作業であり、それが家族の心の穏やかに繋がっていると・・・

故人の子供達、孫達、姉妹を見て実感させて貰えた葬儀でした。

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