昨日の夜9時過ぎ一本の電話が鳴った。

大雪で人の動きが少ない時間帯、葬儀の電話かと緊張が走る。

対象者61才の娘さんからの電話で、医師から今日明日の終幕と告げ

られ連絡をしてきたのだという。

この家族、事前相談をした僕も良く覚えている家族でもあります。

昨年12月14日、ご夫婦と娘さんの三人であんしん館に来てくれた

のですが「誰か親族で近い方がいらっしゃるのですか?」と尋ねると

「俺なんだけど、末期癌で来年の4月までだって言われちゃったから」

と笑顔で答え、家族も笑顔・・・ 笑顔に違和感を感じて聞き返した

「それ本当の話ですか?」「うん そうだよ。医者が春まで持てばっ

て言うからさ、その段取りだけはしておかなきゃと思ってね」と言う

ご主人の笑顔の中に、緊張が見え隠れする。

「分りました」と、いつものように最低限の費用で済む火葬式の内容

から話しを進め、家族葬儀+紹介宗教者=298.000円の葬儀で

お願いしたいと葬儀内容が決まったところで言う。

「そこまで進んでいるなら言いますが、今決めた葬儀も含めて、その

時が来たら、その時の財布事情で内容なんて決めれば良いし、4月に

なると火葬式料金も変更になるけど、10万円あれば火葬はできると

覚えておけば良いですよ。 それよりも、今から言うことを聞くだけ

でなくて出来れば実行してください。」と言う僕を家族三人は静かに

うなづいて聞いていた。

「今の話を聞く限り、もう治療して治せる段階は過ぎたって事です。

ならば、この先は好きな物を食べて、家族の思いでの場所や旅行先が

あるなら行って、思い出を一杯つくったり、写真のアルバムがあれば

夜は全部の写真を振り返ったり、残る家族の生活が何とかなる範囲で

予定している葬儀費用も最低限確保して、全てを家族の思い出づくり

に当ててください。今僕が言ってあげられるのはそれだけです」

それを聞いたご主人は「ありがたい、嬉しい話だけど、これ以上聞い

てたら俺が泣いちゃうから、そろそろ帰りますよ」と立ち上がって、

家族三人、安心したのでしょう。 頭を下げて帰っていかれました。

ブログを書く机の上に、この家族の入会申込書が置いてありますが、

家族三人、笑顔の写真が写っています・・・

幸い昨日の夜は電話もなく朝を迎えましたが、この瞬間にもご主人は

病室のベッドの中で、少しでも生きようと必死で戦っているはず。

いつ電話が鳴るか分りませんが、また辛い葬儀となりそうです。

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