初めての葬儀から一週間ほどすると、全ての残務も完了し、今度は信頼に足
る葬儀社探しを主な課題として、葬儀経験者には利用した葬儀社の話しを聞い
たり、お寺に行ってその地域で評判の良い葬儀社は何処かを聞いたりしますが
、中々これと言った葬儀社の話しはでません。 特に寺の住職などは自分に対
して対応の良い葬儀社を褒めているだけで、良し悪しの選択基準としては論外
の基準です基準は、あくまでも葬家・家族にとって良い葬儀社なのです。
そんなある日、いつものようにお寺の住職と世間話しをしながら「ところで
この地域で住職から見て、ここは良いって思えるような葬儀社ってありますか
?」と聞くと、「良い葬儀屋かい、そうだなぁ・・・」と言って、ある葬儀屋
さんの名前をくちにしたのです。 ん? どこかで聞いた事のある名前のよう
な・・・少し考えると思い出しました。 あの最悪な初めての葬儀の時、名刺
交換をした名刺に書かれていた社名です。 住職に挨拶をして、すぐに名刺に
ある住所へと車を走らせたのです。
到着したのは、三軒長屋風の2階建てビルの一室を、テナント使用している
小さな葬儀屋さんでした。 中に入り挨拶をし社長の所在を聞くと「ちょっと
用事で外出していますが、もうすぐ帰ってくると思います」との事なので事務
所で少し待たせて貰うことにしました。 事務らしい女性と話しをしていると
「うちの社長、葬儀が趣味ですからあまり儲からないんですよ」と言うので「
葬儀が趣味ですか?」と聞き返す「はい、先日も斎場葬儀で、入口の所に白幕
を張っているから「何をしてるんですか?」って聞くと「こうして白幕を張れ
ば綺麗だろ? うちにある物を利用すれば無料だし、俺の労働だけならタダだ
し、お客様は喜んでくれるしで良いじゃん。 なんて言う人ですからね。 全
く・・・と思いながらも、それが良いところでもあるんですけどね」と笑って
います。 この話しを聞いた時( ここだ! 決めた! ) とまだちゃんと会っ
て話しも聞いてないのに葬儀の実務をお願いする決心をしたその理由は、ある
物を使い、自分の労働力なら無料でも良いと、考えられるのは、自分が何かを
した事で、その人が喜んでくれて、その喜んでくれる人の姿を見て喜べる自分
がいる。 そんなタイプの人であり、それは我々と同じ感覚を持つタイプであ
るのは確かだからなのです。
そうこうしているうちに社長が帰ってきました。「その節はどうも」挨拶を
すると、すぐに分ったので、改めてあんしんサポートの考え方を話し、葬儀の
打ち合わせや、施行内容の決定は当方で行なうが、葬儀の実務は使用する道具
も含めて全てお任せしたい旨と、その際に支払える費用、さらには料理・返礼
品・生花等はどうするのかなどの詳細は、後日打合せをしたいと話すと、その
提案に快く応じてくれたのです。
後日、詳細の打ち合わせが完了。これでひと安心と胸を撫で下ろしたのは、
最初の葬儀から、2週間が過ぎて、NPOとしての設立とほぼ同時期の7月始
めだったのです。
その後、花屋さん・ギフト屋さんまでは、良きパートナーと成り得る方々と
出会えましたが、葬具や棺などは相変わらず何処で買えるのか、いくらなのか
も分らないままでした。 それでも何とか一軒の葬具卸問屋さんを見つけ、見
積りを取るまでになったのです。 何社か取引先が見つかり始めた頃、折衝交
渉という新たな依頼が入ったのです。
葬儀社との打ち合わせに家族側として同席
前出の世話役サポートには、葬儀社との葬儀打ち合わせに同席して折衝や交
渉するサービスがあり、今は無き折衝サービス、利用料金3万円の依頼です。
前橋の外れにある一軒家の依頼宅に伺い挨拶をして少し待つと、大手葬儀社の
打ち合わせ担当者らしき人が入ってきました。 彼は喪主に軽く挨拶をすると
座卓の向こう側に座ります。カバンから携帯ノートパソコンを取り出すと準備
を始めましたが、延長コードを使用するのに、葬家には「お借りしても良いで
すか?」の一言も無く、黙って電気を使い始めました(はぁ? なんだこいつ、
人の家の電気を黙って使っちゃうんだ。 大手だから、どんなに手ごわいかと
心配したけど、この程度の奴が相手ならどうって事無さそうだな) そこからは
僕のほうが余裕で話しを進めますが、湯かん納棺の儀の話しになると、黙って
携帯を取り出して電話しようとしています。 「それ湯かん専門会社への電話
ですか?」「はいそうですけど」「なら、その必要は無いので電話は切ってく
ださい」この会話の意味分りますか? 彼は家族に何の確認も了承も得ず10
万円もする業者湯かんの依頼をしようとしたのです。
これが会社の方針なのか、担当者の一存でなのかは分りませんが、自社主導型
営業なのだと分かったからにはもう遠慮はしません。 こちらの言い分を全て
言い、葬家主導の打ち合わせが終了すると、業者の言いなりだった場合と比べ
て合計で30万円ほど安くなったのは確実だったのです。
それと、この時始めて親戚は必ずしも味方では無いと教えられるのです。
葬家におじゃました時に居た男性は、葬儀社との打ち合わせでは黙って成り行
きを見ていましたが、お寺の話しになると「俺の同級生が居るから、そいつに
頼めば良い」と言います。 この家族にとっては初めての葬儀なので墓も菩提
寺も無いからですが、それにしてもお布施50万円は高過ぎると判断をして「
とりあえず葬儀を済ませてから、菩提寺うんぬんはじっくり考えても良いので
は? 知り合いの寺が無いなら、本葬経・初七日法要経・釜前経・居士戒名で
15万円で依頼できますよ」と、言うと突然機嫌が悪くなり、我々に早く帰れ
と言わんばかりです。 また、義兄だという夫婦は、「うちの時の料理はいく
らだったのだからもっと高い物が良いんじゃないの? 返礼品ももっと良い物
が良いよ」と聞いてると腹が立って来るので、依頼された折衝サポートが完了
したのを確認すると、早々に帰ったのです。 兄弟や親戚なら、残された家族
の負担を少しでも減らしてあげようと配慮した発言で当然だと思っていた僕に
とっては、少しショックな出来事であると同時に、親戚は必ずしも味方とは限
らないと教えられた最初の時でもあったのです。 つづく
↓↓↓↓
にほんブログ村
ひとつひとつの葬儀を確認・反省・向上する為に書く実践日誌でもあり、
これから葬儀を経験される方々が後悔しない為に役に立てたらとの
思いを込めて書いています。 宜しければクリックをお願いします