今日一人のお爺さんが事前相談に来られました。 まだご自分で車の
運転もしているのですが、80才を超えてさすがに終幕の心配を始めた
のだそうです。 ずっと独身で親戚付き合いもなく、もしもの時が来ても
誰も来ないし、墓を持っても仕方ないので焼骨の処理も必要だという。
ならば、終幕を迎えた事を我々に知らせてくれる人と、火葬許可を取る
のに誰か親族にお願いしておく必要があることを伝え、同じような境遇で
一人暮しのお婆ちゃんが『5万円火葬支援パック』と『山林散骨』をする
ことになって10万円預かっている人もいると話しをした。 5万円火葬の
話しや5万円散骨の話しを、ずーっと聞いていたお爺さんがひとこと言う。
「それで、焼いて貰ってから散骨すると50万円くらい掛かるんですか?」
「はぃ? だからぁ・・火葬全部と散骨まで全てしても10万円ですよ」
どうもお爺さんは10万円で火葬と散骨全てできるとは信じられなかった
ようで、葬儀屋さんによくあるパターンの、最終価格は相当額が追加を
されると思い込んでいたようです。 こんな老人でさえ葬儀屋の料金は
絶対に追加されると思い込んでいるほど、明朗価格からは遠い存在が
葬儀屋という商売のようです。 何度か同じようなやりとりがあったのちに
やっと火葬と散骨の両方で10万円でできると納得したようです。
と同時にやたら嬉しそうな顔をされたお爺ちゃんが印象的でした。
改めてお爺ちゃんに言います「10万円を少しづつ貯めて、うちに預けた
ら後は全部使って良いんだからね。 これからの人生を精一杯楽しんで
くださいな。80才過ぎたら少ない男性はもてるし彼女作っても良いね」
そう言ってひとしきり笑ったところでお爺ちゃんが言います「私は市営団地
の2階に住んでるけど自宅に戻る気はないので、その時は預かって貰え
ますか?」 「あ、ならば今作っている施設が完成すれば安置室も出来
るので1日込々12.000円で預かれると思いますので、先ほどの10万
円+12.000円で112.000円だけ少しづつ貯めてくださいな」
お爺さんは、またまた嬉しそうな顔をして、自分が住んでる場所は8軒の
うち5軒は独居老人だというのです。 その自分が住んでいる建物だけ
ではなく、団地全体が一人暮らしの多いところだと言う。
色々な老人宅に伺っているので、思っていた以上に独居老人が多いの
は分かっていたつもりでしたが、8軒中、5軒が独居老人と聞かされると
日本の親子関係はどうなったんだ??と改めて考えさせられます。
今、年老いた親を一人で生活させている人達・・・その環境で育った
子供なら、いずれ自分が年老いた時も、同じような道をたどるはずです。
年老いても自分が元気で何でもできる状況ならば、息子や娘夫婦に気を
使っての生活より、一人のほうが気楽だと考えるのは理解できますが、
自分の事が自分でできなくなった時のことまで考えると、ただ笑って済ま
せられる話ではないように思えてなりません。
各家庭事情があるので一概には言えませんが、親子の関係を改めて
考え直す時代が来たように感じるのと、独居老人に何かあった時の事を
本気で考える時代だと痛感します。・・・つづく
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