奥歯が何となく痛い、しみると訴えて来院する患者さんがいます。
レントゲンを撮って調べてみても、虫歯はなく、原因が見つかりません。
そんな患者さんは、歯に大きな「力」が加わっている可能性があります。
歯に大きな力が加わっていても、それを外から調べることはできません。
ただ、そんな患者さんのお口の中を診ると、症状のある歯の噛む面が削れて平らになっていることが多いです。
普通に食事をしていれば、そこまで歯が削れることはありません。
1番考えられるのは、寝ている時の歯ぎしりです。
歯ぎしりをしていませんか?と尋ねても、家族から言われたこともないので、していないと答える人は少なくありません。
歯ぎしりをしている時、確かに歯がこすれるような音がしますが、歯をくいしばって、音もなく歯に大きな力が加わっている時があります。
そんな人の舌を見ると、下の写真のように舌の縁の部分に歯型がついていることが多いです。
出典:神戸新聞社
また、頬の粘膜の部分に白い筋状のものが見られることもあります。
出典:神戸新聞社
奥歯に症状があるのに、その原因が見つからず、この2つが現症が認められたとしたら、歯に大きな力が加わっていている可能性が高いです。
何とかして欲しいと歯科医に訴えると、神経を抜きましょうと提案されることがあるかもしれませんが、少し考えた方が良いかもしれません。
神経を抜くと、しみるなどの症状はなくなり、治ったと思うかもしれません。
けれども、神経を抜いた歯は全体に被せ物をしなければいけなくなります。
何より問題なのは、神経を抜いた歯はもろくなることです。
元々、力が強くかかっていた歯がもろくなってしまうと、欠けたり、折れたりしやすくなります。
根の部分が折れてしまうと、ほとんどの場合は抜かなければいけなくなります。
夜間の歯ぎしりは、昼間のストレスを解消するために行っているとも言われます。
運動をしたり、カラオケで歌を歌ったりして、上手にストレスを発散することにより、奥歯の痛みなどの症状が和らいで来るかもしれません。 《周治》