腸は、食べ物を消化して、栄養素を吸収する場所であることから、消化器官として知られています。ところが、近年、腸は消化器官としての役割に加え、「免疫系」、「内分泌系」、「神経系」の働きが発達している重要な器官であることが明らかになってきました。また、腸には腸管神経系という独自の神経ネットワークが発達しており、感知したさまざまな情報を処理して脳へ伝達していることが分かってきました。つまり、脳と腸は情報を交換しあう、言い換えると、対話をしているのです。この腸脳連関の考え方は、腸内の状態が脳の健康に密接な関係があることを示しています。

 

ヤクルト中央研究所HPより

 

このような観点から腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスが良好であることは、脳の健康と機能にとって重要であることが分かってきました。以下は、腸の健康を通して脳の健康に良い食事について説明していきます。

 

①良質な脂質を摂取する

オメガ3脂肪酸は、脳の健康をサポートするために重要な役割を果たしています。オメガ3脂肪酸は、抗酸化作用があり、脳細胞の炎症を抑える効果があるとされています。サーモン、マグロ、サバ、アボカド、ナッツ類、オリーブオイルなどに豊富に含まれています。

 

②緑黄色野菜を食べる

緑黄色野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、抗酸化作用があります。これらは、脳細胞を酸化ストレスから守り、炎症を抑えることができます。ほうれん草、ブロッコリー、カボチャ、ニンジン、トマトなどがおすすめです。

 

③亜鉛を含む食品を摂取する

亜鉛は、脳機能や神経伝達に関与する重要なミネラルです。牡蠣、赤身肉、ナッツ類、豆類、全粒穀物などに多く含まれています。

 

④ビタミンB群を摂取する

ビタミンB群は、脳の神経伝達物質の合成やエネルギー代謝に関与しています。また、ストレスや疲労を軽減する効果もあります。全粒穀物、緑黄色野菜、卵、肉類、乳製品などに多く含まれています。

 

⑤プレバイオティクスとプロバイオティクスを摂取する

腸内細菌叢のバランスを整えるために、プレバイオティクスとプロバイオティクスが重要です。プレバイオティクスは、腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富な食材で、玉ねぎ、にんにく、バナナ、オーツ麦、海藻類などに含まれています。プロバイオティクスは、善玉菌を直接摂取することで腸内細菌叢のバランスを整える効果があります。ヨーグルト、キムチ、納豆、ミソ、ピクルスなどの発酵食品がおすすめです。

 

⑥抗酸化物質を多く含む食品を摂取する

    抗酸化物質は、酸化ストレスによる細胞ダメージを防ぎ、脳の健康を維持することに役立ちます。ブルーベリー、イチゴ、アサイー、カカオ、緑茶などが抗酸化物質を多く含んでいます。

 

⑦ 適度なカフェイン摂取

適度なカフェイン摂取は、脳の働きを活性化させ、集中力を高める効果があります。ただし、過剰な摂取は神経を過敏にし、不眠や不安を引き起こすことがあるため注意が必要です。コーヒー、緑茶、紅茶などから摂取できます。

 

⑧食物繊維を多く含む食品を摂取する

食物繊維は、腸内環境を整え、腸脳連関をサポートします。また、血糖値の急激な上昇を抑える効果もあります。野菜、果物、全粒穀物、豆類などに多く含まれています。

 

⑨適度な糖質摂取

糖質は、脳のエネルギー源となりますが、過剰な摂取は脳の健康に悪影響を与えることがあります。低GI食品を選ぶことで、血糖値の急激な上昇を抑え、脳の健康を維持することができます。玄米、全粒パン、そば、キヌアなどがおすすめです。

 

⑩適度な水分摂取

脳は水分が不足すると機能が低下します。1日に1.5~2リットルの水分摂取が推奨されています。

 

by のりはる