みなさんこんにちは。

技工士の飯塚です。

 

前回「鋳造用合金」についてお話しました。

今回は鋳造用金属を用いた補綴装置について少しニヤリ

 

 貴金属系金属冠

①材料の適用領域

クラウンには、全部被覆冠、部分被覆冠がありまして、貴金属系金属冠は全種類に適当可能OK

歯科用貴金属合金には、金合金と銀合金があります。

健康保険適用の金銀パラジウム合金は分類上、銀合金になります。

 

ここからちょっと難しい笑い泣き

歯科鋳造用金合金の分類は、米国歯科医師会により1966年にADA規格が発行され、国際規格ではISO1562:2004があります。

現在では、歯科鋳造用金合金単体の規格ではなく、補綴装置に使用される金属の規格ISO22674:2016の中の1つのセクション

として鋳造用金合金が分類されています。

 

国際規格の変化は、歯科鋳造だけでなく、CAD/CAM法の普及などによる歯科用金属の加工法の変化に対応したものと思われます。

日本においては、18カラット以上の貴金属合金の分類JIS T6116:2012および18カラット未満の貴金属の分類JIS T6122:2012の2つの分類があり、ISO 22674:016に対応。

 

歯科鋳造用金合金は、ISO 22674:016によれば、その硬さにより、軟質、中硬質、硬質、超硬質の4種類に分類されます。

軟質タイプ1の金合金は、伸びが最も多く軟化熱処理を施すことにより伸びが増加するため、単純窩洞のインレーに使用する。

中硬質タイプ2は、インレー、アンレーおよびクラウンに使用される。

硬質タイプ3は、アンレー、クラウンおよびブリッジに使用。

 

クラウン単冠症例のタイプ2とタイプ3の使い分けですが、咬合力がかかる最後臼歯のクラウンなどはタイプ3を使用。

超硬質タイプ4は、可撤性補綴装置では、バー、クラスプ、義歯床およびアタッチメント、固定性補綴装置としては薄い被覆冠、ロングスパンブリッジおよびインプラント上部構造などに使用されます。

 

歯科鋳造用金銀パラジウム合金は、金合金の代用としてJIS T6106:2011規格によって規定されており、第1種はインレーとクラインに、第2種はブリッジとクラスプに使用されます。

またこの合金は健康保険適用の金属であり、にほんで最も使用されている歯科用合金です爆  笑

 

貴金属を使用する全部被覆冠には、全部金属冠および前装冠があります。

さらに前装冠には、レジン前装冠と陶材焼付金属冠がある。

レジン前装冠は、レジン前装面にリテンションビーズによるアンダーカットを付与する必要があるが、金合金、金銀パラジウム合金ともに使用が可能。

陶材焼付金属冠に使用される貴金属合金は、融点を陶材焼成温度より高く設定することと、機械的な強度を増加させるために、白金あるいはパラジウムなどの白金族を添加している。

 

②材料の扱い方、加工の方法

貴金属系金属冠の扱い方と加工で重要なのが、熱処理ガーン

熱処理には、鋳造後に急冷する軟化熱処理と、軟化熱処理後に一定の温度に加熱し保持する硬化熱処理があります。

軟化熱処理はインレーを製作する際に行われる処理で、鋳造後に鋳造体を急冷することにより合金中の偏析が取り除かれ、延展性が増加。

軟化熱処理を施したインレーは、効果的に辺縁を延展させることが可能となる。

 

硬化熱処理の可能な貴金属合金、いわゆる熱処理硬化性をもつ歯科用貴金属合金は、硬質タイプ3、超硬質タイプ4金合金、白金加金、14~18カラットの金合金、鋳造用金銀パラジウム合金および陶材焼付用金合金がある。

単冠の場合は硬化熱処理は必要ないと思うが、ブリッジへ適用する際は、たわみの防止などの観点から硬化熱処理が必須になる。

 

と、毎回ざっくりで申し訳ないな~と思いつつこんな感じでウインク

 

次回は鋳造用金属「非金属系金属冠」です。