みなさんこんにちは。

 

技工士の飯塚です。

 

前回前々回と歯科材料の分類から「金属系材料」・「高分子系材料」までやりましたねウインク

 

今回は「セラミックス系材料」です。

 

 

歯科用セラミックス系材料の歴史は古く、17世紀末にLandが長石系のポーセレンジャケットクラウンを製作した事に端を発します。

その後は、セラミックス系材料の弱点である脆さのためにあまり臨床応用されなかったようですが、1950年頃になると鋳造金合金に陶材を焼き付けることによって臨床応用の領域も拡張されるようになりました。

 

それ以降、「鋳造」から派生したキャスタブルセラミックスと、「築盛」から派生した強化型セラミックスの2つの流れで研究開発され、さらに近年ではCAD/CAMシステムによる切削加工や、3Dプリンター技術を応用した付加造形型のセラミックスも開発されてきました。

セラミックス系材料は生体適合性が高く、アレルギーの発生も少なく、化学的安定性や審美性が良好で、さらに最近のセラミックス系材料は機械的強度が飛躍的に向上して、オールセラミックス系材料として臨床応用が活発に行われるようになってきました。

 

1)セラミックス系材料のISO分類

2008年にはISO 6872によって臨床適用を考慮した分類が新たに行われ、クラス1および2は従来からの長石系陶材およびアルミナ陶材、クラス3および4はプレスセラミックスなどの種々のセラミックス系材料、クラス5はアルミナ、クラス6はジルコニアです。

 

2)セラミックス系材料の分類

基本組成によって分類すると、長石系セラミックス、リューサイト系セラミックス、二ケイ酸リチウム系セラミックス、メタケイ酸リチウム系セラミックス、スピネル系セラミックス、アルミナ系セラミックス、ジルコニア系セラミックスになります。

また、製作方法によっては、築盛法、鋳造法、加圧成形法、電鋳法、切削加工法、付加造形法などに分類されます。

 

3)セラミックス系材料の強度改善法による分類

 

①分散強化法

石英、アルミナ、リューサイト、マイカ、二ケイ酸リチウムなどの結晶粒子によって、ガラスマトリックス中に生じた亀裂の進展を抑制する。

 

②ガラス含浸法

コア材の多孔質の空間に低溶、低粘稠度のケイ酸ランタンガラスを含浸させ、強度の改善を図る。

 

③高密度結晶法

単体で高密度に焼結されたセラミックス系材料で、高純度のアルミナ、部分安定化ジルコニアが用いられる。

部分安定化ジルコニアは高純度アルミナよりも曲げ強さ、破壊靭性値が大きく、弾性係数が小さい。

 

4)オールセラミックスの現状

近年、セラミックス系材料は機械的強度、審美性、操作性などが向上しているとともに、金属の使用による歯や歯肉の黒変、金属アレルギー、貴金属の高騰などの問題点がクローズアップされることから、オールセラミックスによる修復物の臨床使用頻度が増してきました。

①機械的強度

これまでは、セラミックス修復の問題点として破折などの機械的強度の脆弱性、支台歯形成における歯質削除量の多さ、歯質との接着、技工操作の繁雑性などからセラミック単体での修復物の適応症はかなり限定されていました。

そこで、セラミックスの弱点をカバーするために金属に焼き付ける方法(メタルボンド)が行われ、長年にわたり臨床応用されてきました。

近年、高強度型セラミックスの開発やCAD/CAMシステムの普及に伴って、新たな素材であるジルコニアが登場物申す

ジルコニアは曲げ強さ…破壊靭性が分類のなかではブッチギリなうえ、応力誘導相変態を有して、内部の結晶構造の変態によって亀裂の伝播が進行しない性質をも有しています。

 

②審美性

メタルボンドクラウンは、メタル色を遮断するためにオペーク陶材が使用され、光の反射によって不透明で深みのない色調になりやすい欠点がある。

一方、オールセラミックスクラウンは天然歯のような半透明性を示す材料が調整され、光の透過性が高まり、ステイニングやレイヤリングによってさらに天然歯に近い色調の再現が可能。

ジルコニアボンドクラウンは、デジタル加工とアナログ手法の融合によりきわめて高い審美性を有するクラウンであり、メタルボンドクラウンを凌駕する位置づけにある。

ジルコニアもさのニーズに応じて改良され、高強度型や高透光性型などの種類もあります。

特にモノリシックジルコニアクラウンは、従来のプレスセラミックスと同等の透光性を有するとともに、ポーセレンをレイヤリングさせないことでチッピングを防止できるため評価が高い。

 

③操作性

従来から使用されてきた長石質陶材はアナログ的な技術によって築盛、焼成が行われ、またキャスタブルセラミックスやプレスセラミックスにおいても蝋型採得が行われ、いずれも製作者の技術の差が出来栄えに大きく影響してきた。

しかし最近、歯科用CAD/CAMシステムが急速に普及したことで、コンピュータ支援によって設計を行った後は、プログラミングされた加工装置で切削加工が行われるために、ブロックやディスクの選択さえ誤らなければ、形態的、審美的にも製作者の技術による影響はあまり受けない。

しかも高圧下、高密度で成形されたブロックやディスクを使用するために制作された補綴装置においては、機械的強度も安定し均質で内部欠陥はほとんどない。

 

と、これまた前回前々回同様ざっくりですが「セラミックス系材料」は、こーいうものでしたウインク