みなさんこんにちは。

技工士の飯塚です。

 

さて今回は何にしようかなぁ…と考えていて、しばらく色々な体験談的なのが続いたので、今回はちょっとお硬めな話を。

今回は「歯科材料」

 

日常臨床で使用されている補綴装置の製作に関わる歯科材料は…

「金属系」 「高分子系」 「セラミックス系」に分類されてます。

 

まずは「金属系」から

歯科用金属の歴史は古く…歴史からだと長~くなるので、ここでは割愛しますwww

ただ製作した経験のある一番古いものだと「縫製冠」ってのがあります。

ニッケルクロム合金だったかなぁ…板金を加工して、てっぺんのみ鋳造したものを加工した板金にロウ着するっていう被せもの。

ロストワックスによる鋳造や、削り出しで慣れた若い人にはイメージできないかもしれませんねぇ。

 

歯科用金属材料は、口腔内において咬合力や咀嚼力に耐えうるだけの強さと、耐摩耗性が求められることから、多くに金属材料は純金属の所要性質を改善するために、複数の貴金属元素や非金属元素を合わせて「合金」として使用されます。

 

構成元素は…

 

貴金属元素として、金 銀 白金 パラジウム

非金属元素として、クロム コバルト チタンなどです。

 

使用用途としては、鋳造用合金 屈曲用合金 蝋付け用合金に分類されます。

 

さてでは金属とはどうゆうものなのか…

 

金属材料の所要性質から

 

①生物学的安定性

金属アレルギーや毒性などの生態為害性のないもの。

金属アレルギーとは、口腔内の唾液などにより腐食した金属から溶出した金属イオンが、蛋白質と結合して、血液などを介して全身に送られ、局所的あるいは全身的な過敏症を発症するもので、ほとんどの金属元素はアレルギー性を有しています。

 

②機械的強度

口腔内おいて大臼歯部では体重に相当する力が負荷され、また偏心運動時には歯の滑走による摩耗が生じ、さらには異常習癖によって、想像以上の力が負荷されることもあります。

したがって合金には高い強度、硬さ、剛性が要求されます。

ブリッジに適応する場合には、熱処理による時効硬化性を発揮させることもあります。

一方でインレーに使用される場合は、辺縁部の適合性を高めるために展延性の優れた合金を使います。

 

③化学的安定性

口腔内は唾液や食品によって絶えず湿潤状態にあり、温度、pHなどの変化を受け、さらに咬合圧や咀嚼力、ブラッシング力などが負荷され、時間の経過とともに金属イオンや酸化物、硫化物などの腐食生成物が生じてきます。

すなわち腐食されやすい環境にあるってことです。

腐食によって、変色(審美不良)、辺縁部の不適合に伴う二次う蝕の発生、金属アレルギーの発現などが生じる。

なので、口腔内で使用される金属材料には高い耐食性が求められます。

 

④加工性

金属材料の加工法としては、屈曲、鋳造、切削、付加造形があります。

いずれにおいても操作性がよく、研削・研磨が容易な材料が望ましい。

 

・屈曲:クラスプ、矯正用ワイヤー、義歯の連結子

・鋳造インレー、クラウン、ブリッジ、インプラント、金属床、クラスプ

・切削:CAD/CAM冠、金属床

・付加造形:粉末焼結(3Dプリンター)

 

ざっくりですが、金属系材料はこんな感じです。

 

次回は、「高分子系材料」 「セラミックス系材料」です。