虫歯が進んだり、折れたりすると、歯を抜かなければなりません。
歯を抜いたら、その部分は穴が開いた状態になりますが、その後どうなるのかを心配される患者さんがいます。
「そこは血液で満たされて、やわらかい組織になり、やがて骨になり埋まって行くので心配はありません」と説明をしています。
すると、「骨になりやすくするために、カルシウムを摂った方が良いのですか?」と、患者さんから尋ねられることがあります。
結論から言うと、カルシウムをたくさん摂っても、治りには関係ありません。
カルシウムの役割は、骨を造っているだけではありません。
筋肉の収縮や神経の興奮、遺伝子発現など、人体にとって重要な役割を果たしています。
そのために、血液中のカルシウム濃度は、いつも一定に保たれています。
カルシウムが不足している時は、体内に取り込まれて骨になりますが、足りている時は必要ないので、取り込まれません。
つまり、カルシウムが不足していない人は、たくさん摂っても素通りしてしまいまうので、意味がありません。
また、良く聞かれるのが、カルシウムをたくさん含んでいる牛乳を飲むと歯が丈夫になるのかと言うことです。
牛乳には以下の作用があるようです。
・お口の中の酸を中和する
・歯の表面にプラーク(汚れ)を付きにくくする
・エナメル質の再石灰化を促進する
・唾液の分泌を促す
牛乳には、虫歯予防の働きがあることは確かなようです。
しかし、虫歯で穴が開いてしまったところが、牛乳を飲むことによって、塞がってくるようなことはありません。
そんな時は歯科治療が必要になります。
カルシウムが不足すると、骨粗しょう症になるだけでなく、身体の機能に大きな問題が生じます。
それ以外の人は、毎日、600~700㎎位(成人)を摂れば良いと言われています。
成長期の子供は、歯の組織が造られている時期なので、それよりも多く摂らなければいけません。
牛乳だけでなく、ひじきや小松菜などの野菜にもカルシウムが豊富に含まれています。
いろいろな食品を組み合わせて、上手に摂って下さい。 《文責:周治》
骨粗しょう症の無料相談室のHPより