前回まで、ストレスの低下に繋がる音楽、食べ物、過ごし方、そして、疲労の原因物質は活性酸素であること等をこのブログに書いてきました。

 

今回は香りの疲労解消効果について解説したいと思います。

 

疲れた時に飲む暖かいコーヒーの香り…気ぜわしく働いていた脳が心が一気にリラックスしていく瞬間です。

 

このような瞬間に私たちが感じる感覚の大部分は、舌から伝わる味の感覚からではなく、匂いを嗅いだときに鼻に到達する揮発性の化学物質からやって来るそうです。つまり、心地いい香りであり、香りそのものに不思議な効果があることが近年の研究でわかってきました。

 

いろいろな香りの中で、疲労回復の効果が科学的に証明されているものの一つに“みどりの香り”があります。芝刈機で芝を刈ったときや、新茶の缶を開けたときの香りで、“青葉アルコール”、“青葉アルデヒド”と呼ばれる成分です(週刊ダイアモンド2016年11月12日号より)。

 

理化学研究所のチーム報告によると、みどりの香りを嗅がせたサルとそうでないそうでないサルとに簡単なボタンを押す作業をさせたところ、嗅がせなかったサルは時間の経過とともに反応時間が遅くなり、作業能力が低下した一方で嗅がせたサルは低下しなかったそうです。

 

これは香りの成分が鼻にある嗅細胞を刺激し、神経を介して脳の神経細胞に作用し機能を高めることに起因し、その結果として疲れの原因物質である活性酸素の発生が軽減され、疲労が軽くなっていると考えられています。

 

ただ、食べ物の栄養素が毎日食べることにより効果が上がるのと異なり、みどりの香りは実際に“疲れてきた”と感じた時に嗅がなければ疲労回復の効果がないそうです。

 

確かに、疲れた時にリラックスする香りの効果は、即効的であり、疲れている時ほど強く感じる気がします。

 

そもそも、ストレスが疲労の原因になるのは、ストレスに抵抗しようと交感神経が活性化して脳が覚醒し、体の各器官を戦闘態勢にして緊張状態を作り出しているためです。

 

強いストレスを長時間受け続けると、ストレスの種類に関係なく汎適応症候群(=ストレスに曝された生体が見せるストレッサーの有害性に適応しようとする反応)という反応を示します。

 

そして、ストレス反応が長期化したり、慢性化したりすると人それぞれの限界値を境にストレスに対する抵抗力は低下します。

 

働き過ぎた自律神経や副腎が疲弊し、ストレスがなくなっても正常に機能しなくなってしまいます。 こうなると、自律神経失調症やうつ病、副腎疲労といった怖い病気に移行する可能性があります。

 

以前のブログで書きましたように、根本的な解決法はストレスの原因そのものを取り除くことにつきます。それがなかなかできない場合には、ストレスそのものへの対処ではなく、副交感神経を優位にして疲労を軽減させる、つまり、以下のような ”癒し”の環境をつくり出して心身を休息されることが大切だと考えられます。

 

”みどりの香り”の他に、実験などで科学的に疲労回復効果が認められているものとして下記の方法があります。

 

(1)炎のある暖房

(2)気泡水流浴(泡風呂)

(3)疲労解消のための音楽

(4)縁側(部屋とつながった空間)

(5)木の部屋・空間

(5)高濃度水素水

 

これらだけでなく、仲間とのおしゃべりしたり、音楽を聴いたり、本を読んだりといった 気分転換 にも疲労減少の効果はあります。

 

その際、自分の好きなジャンルのものにするとより効果が高まります。

 

 

by のりはる