第3話空白の6年を埋める3ヶ月。            身体を戻すところから始まった



① 練習メニュー立案

ロンドンマラソンのツアー申込と同時に、トレーニングもスタートしました。

それまでの私は、“走りたい時に自由に走る”スタイル。

タイムも距離も気にせず、気分転換のようなランニングでした。

でも今回は違う。

まず必要なのは、

「42.195kmを最後まで動き続けられる身体に戻すこと」

でした。

そこで、各月ごとにざっくり目標を設定。

12月 → まずは2時間以上動けるようになる
  1月 → 20km走れるようになる
  2月 → 30km走れるようになる
  3月 → 実際のレースで30kmを試す
  4月 → テーパリング

かなりシンプルですが、当時の自分にはそれくらいが精一杯でした。

一応、6年前の記憶を呼び起こしてみる。

でも、当時やっていた練習は、今の自分には明らかにオーバースペックでした。

レース1週間前まで30kmペース走をしていたり、とにかく強度が高い。

「あの頃の自分、どうやってたんだろう…」

と思うレベル(笑)

6年の空白は想像以上でした。

限られた時間の中で、怪我をせず、どうやってロンドンマラソンのスタートラインに立つか。

正直、最後まで手探りでした。

② 故障?身体の悲鳴

3月初旬。

ようやく20kmが走れるようになってきた頃、左のハムストリングスに違和感が出始めました。

今まで経験したことのない嫌な痛み。

「もしかして肉離れ…?」

さらに腰痛まで追加。

やればやるほど、身体が悲鳴を上げる。

でも、ここまで来て

「やっぱり辞めます」

だけは絶対に言いたくなかった。

そこからは、とにかく身体を壊さない方法探し。

良さそうなメンテナンスに通い、自分に足りないケア方法を教えてもらいました。

原因の一つは、身体の固さ。

特に股関節周りやハムストリングスの柔軟性低下が、痛みに繋がっていました。

そこから毎日、ストレッチとケアを継続。

少しずつ痛みが軽くなり、違和感なく走れる日が増えていきました。

1ヶ月後には、膝までしか届かなかった前屈が床まで触れるように。

「きちんとケアすれば、身体は何歳からでも変わります」

その言葉を信じて、とにかく継続。

3月20日の30km走には間に合わせたい。

毎日、自分の身体の声を聞く。

少しでも違和感がある
だるい
疲労感が強い

そういう時は、無理せずすぐ調整。

以前の私なら、「とりあえず走る」だったと思います。

でも今回は、“壊さないこと”もトレーニングでした。

そして昔から貧血になりやすかったため、貧血予防も忘れず。

食事だけでは不足しやすいため、補助食品も活用しながらコンディションを整えていきました。


   股関節周りほぐしのお供。ガチガチの股関節が緩んだ

 ③ 寒さとの闘い 〜 トレッドミルから外ランへ 〜

今回、もう一つ最大の難関だったのが、“寒さ”です。

私は昔から極端に寒さが苦手。

防寒対策をしていても、冬に1時間外を走ると手足が悴み、その後2時間くらい何もできなくなる。

さらに感冷性蕁麻疹まで出る。

正直、12月スタートの練習はストレスでしかありませんでした。

そこで導入したのが、ジムでのトレーニング。

トレッドミルにも初挑戦しました。

最初はランニング後に頭がふらつき、酔ったような感覚。

「これ、本当に慣れるの?」

と思いましたが、1週間ほどで徐々に順応。

そこから少しずつ距離を伸ばしていきました。

ただ、いつまでもジムだけで走るわけにはいかない。

実際のレースは外。

しかも、ロンドンマラソンが開催される4月のロンドンは
日本の2月くらいの気温と聞くし…

覚悟を決め、2月から外ランの回数を増やしました。

すると今度は別の問題が発生。

すっかりトレッドミルの走り方に慣れてしまい
いざ外を走ると頭がフラフラする。

サングラスをすると、さらに地面が揺れる感覚。

しかも外ランは、トレッドミルと違い、自分の脚で体重移動をしなければいけない。

トレッドミルで「楽に走れるようになった」と思っていた感覚は、外ランで現実を知ることになります。

気付けば、“寒さとの闘い”どころではなく、

“外ランの身体の使い方を取り戻すトレーニング”

になっていました。

最初の2週間くらいはかなり違和感がありましたが、徐々に外ランの感覚を思い出していきました。

 ④ メンタルの波

どんなに練習をしていても、

「いける」

という自信は最後まで湧きませんでした。

6年ぶりのフルマラソン。

しかも海外。

今回の最長ロング走は、本番1ヶ月前にエントリーした30kmレース。

フラットコースなのに、かなりキツかった。

ロンドンマラソンは完走が最大の目標。

でも今の状況なら“残り12.195kmが地獄になるのでは?”

そんな不安がずっとありました。

想像以上に衰えていた体力に絶望することもありました。

それでも、やるしかない。

残り1ヶ月は、練習量を減らしながら疲労を抜き、本番にピークを持っていけるよう全力を尽くしました。

        チャレンジ神戸 30キロ走

⑤ 家事育児との両立

今回、2歳の子供を置いて、一人で海外マラソンに参加。

これは、夫の協力無しでは絶対に実現できませんでした。

保育園の送迎
食事
お風呂
寝かしつけ

全部お願いすることに。

だからこそ、少しでも負担を減らしたくて、渡航前は食事の作り置きも準備しました。

事前に食べたいものを聞き、冷凍ストックを6日分。

豚バラ大根
鍋セット(魚、肉2種類、だし3種類)
筑前煮
鯖の南蛮漬け
豚汁

子供が「ちゃんと食べられるかな」「泣かないかな」

最後までそこは気になっていました。

でも、渡航中はぐずることもなく過ごしてくれたようで、本当にありがたかったです。

改めて、家族の協力があってこその挑戦でした。