公認スポーツ栄養士 上原寛恵です。
先日、ジュニア選手の強化合宿で、保護者の方からご質問をいただきました。
「4歳からこのスポーツを始めて、子供の頃から小柄。
小学6年生でクラスでも背の順は前です。
成長曲線は、範囲内のぎりぎりラインにおさまっているけど、
どうやったら身長がのびますか?」
小学校中学校のジュニアアスリートは成長期でもあるため、成長のことを考えた運動と栄養の
バランスをとる必要があります。
そのポイントについてお伝えしていきます。
人間は身長約50cm、体重約3㎏で生まれてきます。その後、生後1歳で身長は約1.5倍、4歳で2倍、
それから10歳までは緩やかに発育します。
次に大きな成長を見せるのが、第二次成長期。一般的に、男子は11歳頃に成長のスパートが
始まり、13歳で成長のピークを迎えて、1年に約10~12cm伸びます。
女子は2歳早く、9歳でスパートが始まり11歳でピークを迎え、1年に約8cm伸びます。
この急激に伸びる時期を成長スパートと呼びます。
成長スパートの時期が過ぎると、高校生までの間にゆるやかに伸びながらゆっくりと止まります。
この発育には個人差があって、早熟型、中間型、晩熟型の3パターンがあります。
これを見分けるには1年間で伸びた身長に注目してください。
早熟型の男子が一番身長が伸びるのは10~11歳
中間型が13~14歳
それより遅いのが晩熟型
女子の中間型は11~12歳、晩熟型はそれより遅い
子どもさんがどのタイプなのか、まず発育状況を知ることが、食事を考える上で大切です。
1年間で伸びた身長を点でつないでいく「成長率曲線」でチェックをしてみてください。
子供さんの身長と体重を定期的に測って、成長スパートとピークを見逃さないこと
が大切です。
成長率は1年ごとに見ていきますが、数カ月で一気に伸びるということもあるので、
できれば毎月身長と体重を測ることで、スパートに気が付きやすくなります。
次に大事になポイントが、食事と運動量です。「食が細くて・・・」と食べる量が少ない状態でいると、
なかなか成長スパートが来ないこともあります。
また小さなころから激しいトレーニング行っていると、運動量があまりにも多いため、発育・発達のための
エネルギーが足りず、身長が伸びないということも起こります。身長を伸ばすには、
適度な運動とバランスの取れた十分な食事、そしてよく眠ること
が必要です。
しかし今が成長のスパートで、エネルギーの必要な時と分かっていても、食べられる量には
限界があります。そして、たくさんたべたからと言って、内臓の消化吸収力が急激に良くなる
わけではありません。
さらに、運動中は消化吸収力が下がっているので、長時間運動すると栄養の吸収量が
少なくなります。
このような理由から、栄養不足になり、ケガをすることもあります。
エネルギーが足りないかなと思ったら、小分けに栄養を補給する方法がオススメです。
3回の食事以外に、練習前の補食(果物・おにぎりなど)、寝る前に牛乳・ヨーグルトなどの
内臓に負荷のかかりにくいものを摂って補給します。
そして、成長スパートが来ているタイミングでは、練習量を調整することも大切です。
週に1回は練習を休みにする
エネルギー消費の多いトレーニングだけでなく、ストレッチなど
体の使い方を意識する時間も増やす
補食を利用してエネルギー不足にさせない
などの工夫も必要です。
それから、練習直後は、交感神経が活発になっているため、直ぐに食事が食べられない
という場合もあります。
その時は、練習直後にいったん補食をとって、家に帰ってから食事を食べる様にする
と栄養不足を予防できます。
成長期の子供さんの“成長スパート”を見逃さないで、食事や運動、生活習慣の面から
しっかり身長を伸ばすサポートをしてあげてくださいね。
