夜分に。

 
師匠の言葉より。
 
 
誰かのために料理をするということは、結局は自分自身のためでもある。
そしてそれはスピリチュアルであると同時にエステティックな行為である。
 
料理とは、日常の中の決められた流れを、少しの間止めるような行為だと思う。
 
五感を使ったいつもとは違う感じ方、考え方で、ベースとなる材料から、それらが一体となって完成する自分の創造作品を想像することが料理には必要だ。
 
つまりそれは自分自身への回帰であり、茶道の精神にも通じるものだと言える。
 
料理を作り、居心地よく部屋を飾り、演出する……それは自分という人間の中の大切な部分を発見するステップだ。
何故なら感受性とは男のものでも女のものでもなく、この世界とつながるための一つの方法に過ぎないのだから。
 
受け止めると同時に働きかける、繊細であると同時におおらかな、陰と陽のようなつながり方。それはまるで人生と、それを支える愛のようだ。
 
パトリス・ジュリアン
 
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