夢を見た。


ふと目が覚める。
外は春の嵐。
強い風が吹き付けて、窓をガタガタ鳴らす。

今日。
私の人生最大だった夢の、ひとつの歴史が終わる。

そのことはもっとずしんと重くのしかかってくるかと思っていたが、意外とそうでもなく、ただ「ああ、今日なんだなぁ」というぼやーんとした気持ちだけがここにある。


2014年2月14日のことをよく覚えている。


プレオープンの時、知人に痛烈に批判され、散々こき下ろされ、大泣きして一度店を閉めようとした。

人に励まされ、自分を奮い立たせて何とか店を開けたあの日。

その中身は、不安と焦りと戸惑い。

感情100パーセントのうち、楽しさがゼロの状態で始めた店。


関東地方は記録的な大雪で、ストーブをいっぱい炊いた。


あの頃。
人の喜びと自分の幸せがごっちゃになっていた。
あの頃。
お金さえあれば全てがうまくいくと本気で思っていた。

あの頃。
あの頃。
あの頃。


あれから2年。
あの頃の自分に会えるなら、迷わずこう伝えるであろう。


大丈夫、心配しないで。
起こる全てが、きっと良いこと。


笑える。
ワラエル。
笑顔で幕を閉じれることの嬉しさよ。


どれだけ今、先が見えなくても。
明日が来ることに怯えていても。
目の前が真っ暗になっても。

大丈夫。

ここにひとりの生き証人がおります。


追伸:今日はたぶん、いっぱい泣きます


懸巣工房喫茶室最後の朝に
ぜっきー