離婚してから、もう2年ほど経ったろうか。普通であれば、思い出も記憶も写真とともに、そろそろ風化していく頃である。 だが、なぜか――毎日のように、元嫁からLINEが届く。
届くメッセージ内容は多種多様である。
いや、正確には“一見多様なように見えて、本質は単一”。 つまり――嫁の日記である。
朝起きた話。バナナの木が実をつけた話。シャムネコ(っぽい猫)を見かけた報告。その日の献立。そして、自分の兄弟とSNSでやりとりしたメッセージのスクショ(こちらに関係ない内容)。
もはや「SNSのまとめ記事」なのか「一人メルマガ」なのか、判別できない。しかもそれが、1日5通~20通というコンスタントさ。曜日にムラなし。定期お届け便。
これに対し、私は原則として無視の構えである。だが、子どもに関する内容や、最低限の礼儀が求められるやつには、返信せざるを得ない。そう、“最低限の交流マナー”は守っているつもりだ。
しかしながら―― 10日ほど未読無視をし、未読メッセージが何十通溜まっていたある日、思った。「この連投の中に、もしかして重要な情報が混じっていたらどうしよう」 恐る恐るLINEを開く。
そこに広がっていたのは、空と風と葉っぱの風景、今日の一品の調理実況、全部真顔の元嫁の自撮り(しかもほぼ毎日)
あと、やはり例の“you🐰”的テイストの絵文字たち。。。
そして驚くべきは――こちらが未読であろうとおかまいなしに、 「読むまで打ち続ける」という強靭な送信力。これはもう超執念である。
この性格、すごい。怖い。 日常を綴ってるだけのようで、だんだん向こうの世界に引きずられていきそうな気さえする。
“文章は人を写す鏡”などというが、 連日のこのLINEエッセイ群、もう一冊の私家版“元嫁日記”である。
たぶん今夜も来るんだろうなぁ……と考えながら、スマホ画面を伏せたまま、静かに夕飯のピザを温め直している今夜の私である。