初めから読む下矢印

 

 

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脳などを含めた臓器は非常に優秀で、いきなりスイッチを切ってしまうことはないらしい。どれだけ血流が悪くても、機能が落ちていても、ギリギリまでは動こうとするのだそうだ。

 

「だから、水頭症が起きてもいきなり倒れることはありません」

 

安心してくださいね、と先生は言った。むしろ水頭症を発症しない人もたくさんいるから、あまり気にしなくても大丈夫ですよと。

 

それから、くも膜下手術の方法についても話を聞いた。その先生曰く、技術のない昔はクリップで留める術式が定番だったそうだ。クリップで留めるメリットは、血管をしっかりと挟めること。コイルを詰める方法だと、どうしても隙間ができてしまうらしい。

 

だから、再出血のリスクだけでいうと、クリップのほうが少ないそうだ。

 

「じゃあクリップのほうが良いのでは?」というとそうではない。血管にクリップを挟むためには、頭を”開かないと”いけないからだ。どうしても大きな傷が残ってしまうし、むしろ脳が外気に触れるせいでヘタってしまうのだそう。