初めから読む下矢印

 

 

 

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「今後、お母さんに起こりうることとして、水頭症が挙げられます」

 

ひとしきり母の状態について説明した後、主治医は静かに口を開いた。

 

水頭症とは簡単に言うと「頭に水がたまってしまう」こと。この段階では腰からチューブで水を抜いているけど、転院をするにあたってチューブは外すことになる。その結果、転院先で水頭症を発症してしまう患者さんも少なくないのだそうだ。

 

もし水頭症が起こった場合は、再び今の病院に戻って「シャント手術」をすることになる。と説明をされた。

 

母が手術をした日、主治医に「くも膜下出血は手術をして”はい、終わり”とはならない」と言われたことを思い出す。どんどん回復へ向かって進んでいるのに、まだまだ壁があると思うと、くも膜下出血というのは本当にやっかいな病気なのだと痛感した。