もうすぐ我が家のヨタ号も車検です。 

杉・ヒノキ花粉も終わってそろそろ暑くなってきたので、のんびり車検整備を始めました。

 

数年前、パブリカ乗りで「ブレーキかけると前からちょっとコトンて音がするんです」って訴えてくる人がいました。 理由わかんないので、小型カメラをフェンダー内に取り付けて車を動かすと、ブレーキ回りのある部品がわずかに動くのがわかりました。

 「ネジ緩んでますよ。このまま乗ったら危ないので、すぐ直しましょう」と伝え、すぐ再締め付けしました。 

このネジ、結構緩みます。 特にレストア車や分解整備した車はよく緩みます。

そこは・・・この部品

 

この丸い、ブレーキシューやブレーキシリンダーが乗っかったブレーキバッキングプレートです。

ナックルアームとM8ボルト4本で固定されています。 

この4本のボルトが緩みます。

前後進のブレーキ操作による揺さぶりとブレーキの熱で緩みます。

一旦分解してここに手を入れた車は数年でほぼ緩みます。特にレストア等で塗装した場合は早く緩みます。 塗装が締め付け面に介在するからです。 ナックルアームとバッキングプレート両方を塗装した場合、多層で塗装が挟まります。

私はこの締め付けで挟まれる部分の塗装を剥していますが、それでも少し緩みました。

 

強く締め付ければ大丈夫!っていう人います。 ダメです余計早く緩みます。

ボルトの指定締め付けトルクは、そのボルト金属の限界領域の少し下の力です。 これ以上の力で締めると「降伏点」を超えてしまいます。 金属組成が破壊される領域です。 

ここは介在物(バッキングプレートやナックルアーム)が多いので20から23Nくらいで良いと思います。

制動不良も起こしかねないので、もしご心配でしたら、次の12か月点検などの時に、整備屋さんに締め付けをお願いしましょうね。

 

あと、フロントドラムにガタがある車が多いです。

「このセンターナットはテーパーベアリングを絞めつけているのでユルユルでいいんだよ」っていう整備士がいます。 低精度のベアリングしかなかった終戦直後じゃあるまいし・・・

ベアリング会社で働いていた経験からいえば大間違いです。ガタがあるくらいなら少しきつめの方がまだマシです。

ナットの締め付けは、最後はこうしましょうね。

このセンターの締め付けナット、ブレーキドラムを回しベアリングをよくなじませながら20Nくらいで締め付けたら、一旦少し緩めて、直後に8~10Nで最後の締め付けをします。 

この最後の締め付けで忘れていけないのは、写真のように緩み止めロックワッシャーを大口プライヤーなどで反時計回りに力をかけておいて(ナット締め付け時に供回りしないように)、ナットだけ締めるようにする事です。

整備屋さんなら染みついた当たり前の作業ですよね。

これやらないと、ロックワッシャーと軸溝のガタ分すぐ緩みます。

 

ご安全に!