昨年、知人から依頼された2Uエンジンですが、最近の天気のおかげでかなり進み、主要部分は組み上がりました。

日差しがあって風も弱く、9時くらいから2時くらいまでなら、日差しの下なら外での作業も苦ではありませんでした。

試運転用のミニエースシングルキャブ用のインテークマニホールドも装着しました。

部品一つ一つの状態を確認し、交換か流用か判断をしていきました。状態としては、新品から数千キロの慣らし後半くらいの、かなり良い状態です。

 

さてオイルを入れて火入れを・・・と行きたいのですが、まだシュラウドなどが完成していませんし、ロッカーカバーなどの最終磨きも終わっていません。 回したい衝動にかられますが、我慢・我慢・・・

 

ロッカーアームユニットはユニットとしては超良好なので部品単位まで分解はしたくありませんでした。このユニット状態で磨くと、どうしても磨きカスや金属粉が中に入ってしまいます。一度入ると、いくら洗っても洗いきれません。組みつけた状態で磨くのが一番安心です。 

 

さて次はオイル回しです・・・力仕事ですし一人では危ないので妻を呼びます。 私は新規に組みあがると、必ずこれをやります。新品オイルを入れたらエンジン単体状態で前後左右に完全に横倒しにします。倒した状態で各3秒くらいキープします。 これによってエンジン内にオイルが行き渡ります。この作業は新品組のエンジンでのみ行う作業です。使われたエンジンでやってはいけません。 

 

で、様子を見ていたら・・・変なところからオイルが滲んできました。 ベンチレーションチューブの排油パイプの根本です。

亀裂のようですが、理由がわからなのでベンチレーションチューブを外します。

写真のように治具(手作り)を使ってスライディングハンマーで抜くのですが、そのまま力ずくで抜くとユルユルになります。 クランクケースを暖めないといけません。 エンジン始動しちゃえばすぐ暖まるのですが、仕方がないのでヒートガンで嵌入部周辺を70℃くらいになるまで暖めました。30分くらいかかりました。

 

結局小さな亀裂からの漏れでした。 その他は問題なかったので亀裂部分を削って低温ローで塞ぎました。この作業は大したことはなかったのですが、長年使ったベンチレーションチューブ抜き治具(2代目)に亀裂が入って使えなくなりました。 写真左のオイルフィラーキャップを改造してアイボルトを付けたものです。 まあ約15年、よく頑張ってくれました。  

さてオイル回しと修理も終わったので、次に油圧系統にオイルを回します。 で、こうやります。

中型のドリルを使ってエンジンを回転させます。 このドリルで1回10秒弱ほど回せます。それ以上回すとドリルが壊れます。 休み休み回します。  5秒くらいで機械音が静かになり、20秒くらいでバルブリフターの音が消えました。かなり早いです。 もう20秒ほど回して油圧計路全体にオイルを回しておきます。  

 

ところで最近ちょっとした事件がありました。 

昨年から高そうな自転車で時々作業を見に来られる人がいます。気さくな人で何度か話もしたことがありますが名前も知りません。どうやらパブリカ?を所有?しているようです。 その人がしばらく作業を見ていたと思ったら、突然「ぜひこのエンジンを売っていただきたい」と言ってきました。 「これは先客がいるから」と答えると、「〇〇〇万円でどうですか・・・」ちょっと予想外の金額なので気持ちが動きそうになりました(笑)。 結局、今すぐって話でもなさそうなので「また打合せましょう」と言って、しばし談笑して帰っていきました。 金額なんて真剣に考えたことがなかったから、Yメカさんに今2Uエンジンの相場ってどのくらい?って質問しちゃいました。 最近、私の修理費は安すぎるって言われることが多いです。 エンスーの世界は本当にわからないですね。

では!