東京都下の土中に、完全に埋まっていたヨタハチをサルベージしたお話はご存知の方も多いと思います。 長期に浅い土の中にあったので当然腐っちゃいます。

今回は、この朽ちてしまったヨタハチのステアリングユニットを再生させるお話です。

 

ステアリングユニットは最初にYメカさんによって分解点検され、すべての部品に発生したカサブタのような酷い錆びは薬剤処理されました。 致命傷といえる部分も多かったのですが、特に一番外側のステアリングコラムチューブは朽ちていたそうです。 これはYメカさんに提供いただき一旦全体を仮組されました。

 

私の役割は、他の腐食した部分の問題を解決させ、完成形へもっていくことです。

あと重要保安部品として耐えられるかの確認も随時行なっていきます。

 

さてまずは、レストアの基本、洗いましょう・・・各部点検しながら分解し、食器洗い洗剤「ジョ○」を原液に近い状態で洗います。中性洗剤には界面活性剤が13%くらい入っているので擦れば錆も落とせます。

いろんな工業用洗剤がありますが、素手で洗えて錆も落とせて、錆びにくくもなるので一石二鳥です。

 

で、問題部分の抽出です。

まず、ギヤハウジングの腐食確認です。 

強度低下が心配です。何せ重要保安部品ですからね。

まず目視で確認・・・まあよく全体に腐食して凸凹ですね。 ただ個々の腐食の深さは0.5mm程度で見た目のインパクト(これが大きいですね)ほど致命傷ではありません。

一部大きく凹んだ部分がありましたが、力が加わりそうな部分に大きな凹みはありませんでした。 強度的には大丈夫と判断しました。

次は、水性赤インクを塗り、ヒビの確認です。ヒビがあれば赤い筋が残り分かります。 これも問題なさそうです。 最後にいろんな部分をハンマーでカンカンと殴って濁った音が出ていないか確認します。・・・これも大丈夫 まあ使えるレベルと判断しました。

 

ギヤハウジングエンドカバーには問題があります。 大きく腐食して凹んでいます。  

パッキンを踏めなくなるため、オイル漏れします。 割れに発展しないように、この凹みの溝部分をリューターでスムースに仕上げます。

その後プレスでネジ間に50kgほど荷重をかけてみましたが大丈夫でした。強度的には十分使えます。 万一これで割れたら私の手持ちのを使おうと思いましたが再生させることにします。

 

次はメインシャフトとセクターシャフトです。 これは渡された時からわかっていた大問題があります。

まずは全てのベアリングの腐食です。 腐食レベルは軽いのですが手にゴロゴロ感じます。

何とかしなければ・・・

そして今回の一番難関です。

写真見てわかりますか? 中央のセクターシャフト下部が腐食しています。

ここはオイルシールが当たってギヤボックスのオイルを止めている部分です。

致命傷ですね~ さて、どうしましょう???

 

ちなみに軸受け部やギヤ部は全く問題なしでした。 腐食している部分の上を見ていただけると軸受け部はピッカピカで摩耗や条痕傷がありません。すごく良好です。 ちょっとうらやましい状態です。 

ただセクターローラーベアリングは軽い錆が覆っていました。これも何とかしなければ・・・

 

ちょっと写真ではわかりにくいですが、これがメインシャフトの両側のベアリングの錆です。

ゴロゴロです。

あと、ちょっと理由はわからないのですが

この写真のベアリング内輪が少し浮いていました。 何でかな? 最初からかな?

まあプレスで押しておきます。

ついでに軸側(写真右側)も押しておきます。 やっぱり少し浮いていました。 ハンドプレスでコクンと入りきりました。 たぶん両方あわせて0.2mm以下くらいの浮きかな・・・

今回はここまでです。  修理編をお楽しみに。