知り合いからの依頼で、ヨタハチ用キャブの分解整備をしました。 主にサービスマニュアルに書いていないことを書いていこうと思いますが、参考ぐらいにしておいてくださいね。「この通りやっても直んねーじゃねーか!」
なんてクレームは無しで・・・

まず、一通り外側を洗浄したら、上蓋(ホーン)を開けてみました。 
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フロート室にスラッジがいっぱい溜まっていました。これは洗剤で洗います。
写真中央部に真鋳色のスロージェットがあります。
この上面に47の文字が見えます。これは穴の大きさが、直径0.47mmという意味の数字です。 最近の補給品はこの番号が44、つまり直径0.44mmのスロージェットがついているものがあります。 この時はマニュアル指示のアイドルアジャスティングスクリュー開き回転数「1.5回転」では足りない場合があります。 2回転前後まで開けましょう。 
写真中央のマイナスドライバー溝(スリワリといいます)がある大きなネジは、スモールベンチュリーセットスクリューです。 これが緩むと中高速域のみ絶不調になります。 よく緩む車が多いですが、あまり強く締めると壊れてしまいます。 何度も緩んで仕方が無い場合は、スモールベンチュリー(このネジで止まっている小さいベンチュリー)を写真の下方向に手で片寄らせた状態でネジを締めると緩みにくくなります。スモールベンチュリーが中央に位置しなくなりますが、緩んで不調になるよりマシです。 それくらいなら片寄ってもそんなに調子は変わりません。
写真中央の真鋳色の四角い形で丸い穴が空いている小さな部品は、加速ポンプの逆止め弁の重りです。 この下に鉄球があって上から押さえています。 時々この鉄球が無くて加速不良になっているキャブがあります。持ち主に「キャブ分解して逆さまにしたでしょう・・・」と聞くと、決まってその通りと答えます。 加速ポンプが働く時は、燃料がこの鉄球と重りを押し上げて、四角い部品が入っている穴の左下に見える真鋳色の小さいノズルから、燃料をベンチュリーに水鉄砲のようにチューと噴射します。 次に加速ポンプが戻る時、鉄球と重りでガソリン経路が塞がれ、加速ポンプピストン下に素早く燃料がチャージされます。 ちなみに左上に見えるバネのついた物々しいのは加速ポンプのピストンとリンク機構です。

次に、「よくアイドリングが不安定で調整が難しい!」「安定してアイドリングしない!」「新しいキャブにしたらアイドリングが不安定!」なんてことをよく聞きますが、その原因の1つの原因がこれです。
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スキマがわかりますか? アジャストスクリューを完全にゆるめて、バルブを全閉状態にした状態で光にすかしてみたところです。 昭和40年代の古いキャブはこのスキマがほとんど無く、ピッタリ閉まりますが、平成に入ったあたりからの補給品は、これがピッタリ閉まらないものが多いです。そうなるとアイドリングがどうしても安定しにくくなります。 この写真は、スキマがわかり易いように、写真のコントラストを大きくしているので、大きなスキマに見えますが、実際は、このくらいならなんとか使えます。 この調整は、正面に見える2つのネジを少し緩めて調整しますが、それでもアイドルが安定しない時は、このバルブが取り付いている軸の両外側に、薄いワッシャー(シム)を適宜追加していって、軸のスラスト方向の動きを制限することで改善されます。 ちなみに、このマイナスネジは真鍮製なので、雑に扱うと頭がモゲてエンジンに入り込みます。 知り合いに、このネジ頭がとれてエンジンに入り込みカンカンと大騒音をだして、危うくエンジンお釈迦寸前!てなことも経験しました。(現在の所有者のせいではありません)。

そろそろ飽きてきました。もう1つだけ書きます。
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油面調整です。 フロート調整ともいいます。 よく間違うのが、写真の青の線(フロートの下面)を水平にしないで行うことです。 青い線のフロート下面を水平にして行いましょう。 マニュアルでは9.5mmとなっています。(写真はパッキンがついた状態ですが本来は無しで行います。この時はパッキンの替えが無く、完全に癒着していたので、あえて剥がさずに行いました) やり方はマニュアルにあるので、読んでやってくださいね。
この9.5mmも大事ですが、2つのキャブを同じ高さにする事のほうが大切です。 2つのキャブが同じ高さになっていれば、0.1~0.5mmくらい油面が変わってもアイドルアジャスティングスクリューや点火時期の調整で何とかなってしまいます。
では、また次回・・・