ピーン・・・ポーン
と、やけに間延びした入店音が店内に鳴り響く。
時間は12時を回ったころだ。
その度に、自動ドアをを振り向いてしまうようになっていた。
今までは、雑務をしながら「いらっしゃいませ~~」と言っていたのに。
(私らしくないし!)
と、鈴は思う。
前までこんなに気になることもなかったのに・・・・
これじゃあ・・・まるで・・・
「日比野さんっ。何~~?ボーッとしちゃってぇ~~」
同じアルバイトの厚木さわこに声を掛けられた。
「あっ・・・スミマセン!なんでもないですっ」
さわこは鈴より半年前にアルバイトに入ったフリーターの女の子だ。
鈴がアルバイトを始めた頃、店のことや業務内容について、いろいろ丁寧に教えてくれた。
「おっ・・・顔が赤いよ~~。今日はデートとかっ??」
「違いますっ。私、彼氏いないですってば!」
さわこには前に彼氏はいないと言ったはずだが、信じてもらえない。
さわこは大学1年のころには彼氏がいた。
高校の時から付き合っていた彼氏だ。
でも、彼が他県の大学に行ってから会える時間が減ってしまったのだ。
他県とはいえ、2時間も電車を乗り継げば会いに行ける距離だったが、高校の時は通学路が一緒だっ
たため、毎日会えた。
そのうち、鈴も彼も大学が忙しくなり会う時間も減ってきてしまった。
(私が悪い・・・)
鈴は今になって思う。
何週間も会えない時間が当時の鈴には辛かった。
なんでそんなことも我慢できなかったんだと思うが、傍に居て欲しくて、それが叶わなくて、辛くて・・・・
それで鈴から別れを切り出した。
後悔したって仕方がないのは分かってる。
次の恋にがんばろうとしたけれど、結局大学時代に鈴の恋が実ることは無かった。
あれから5年。
未だに鈴は彼氏がいない。
・・・・・・・つづく
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