鈴の家は閑静な住宅街にある一軒屋だ。
前に近くまで来たことはあるとはいえ、こんな日中に訪れるのは初めてのことだ。
歩いて15分。さほど起伏した土地でもないのに、翔太はじっとりと汗をかいていた。
「到着!」
鈴はこっちを向いて笑顔で言った。
「おう」
鈴の家は、木造の二階建てで夜見たときよりずっと大きい。
門から玄関までの間に、松の木が植えてある庭もある。
一体築何年なんだろう?
「古い家だけどね。さ、入って!」
鈴は、翔太の思っていた事が分かったのかそう言った。
門をくぐり、飛び石のある庭を歩いて玄関まで歩く。
ガラガラと音を立てて、木の引き戸を鈴は開けた。
「ただいまぁ~~」
「お、お邪魔します・・・・」
思いの外、自分の声が小さく、我ながら情けないと翔太は思った。
「おかえりぃ~~、まぁお待ちしてましたよ」
奥のドアから細い鈴に似た雰囲気の優しそうな女性が現れた。
「あ、はじめまして。雨音翔太です・・・」
「翔太くんね。お話はうかがってますよ。鈴の母です」
翔太は鈴が母親に何を話しているのだろうと考えるとさらに汗が噴き出した。
「どうぞ、上がって」
そう促され、スリッパを履いて家の中に入る。
通されたのは、日本間の座敷だった。
真ん中には長方形の座卓と周りに上品な模様の座布団が敷かれてある。
「どうぞ、おかけになってね」
翔太は奥の座布団に案内されて座った。
「翔太、ちょっと待っててね」
そう言うと、鈴は母親に続いて座敷から出て行った。
「ふ~~~っ」
思わず安堵のため息が漏れる。
あたりを見回すと、この部屋の更に奥にも部屋があるらしく、襖があった。
窓は掃き出し窓で、片方が網戸になっており、レースのカーテンが揺れている。
部屋の中は、まだ昼過ぎなのに薄暗く、涼しかった。
(ばぁちゃん家を思い出すなぁ)
同じ市内にある翔太の家より、鈴の家のある場所の方が少し郊外ではあるが、田舎と言うほどで
はなかった。
そのため、正直この「おばあちゃん家」を連想させる家の雰囲気が翔太には意外だった。
(なんだか、時間が止まっているみたいだ・・・・)
コチコチ・・・という振り子時計のような音もどこからともなく聞こえて来る。
そんな音や周りの空気に落ち着き始めたころ、ザザッという音がして、障子が開けられた。
そこには、杖をついた年老いた老人が立っていた。
・・・・つづく
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更新が少し空いてしまいました・・・。なるべく続けて更新できるようにがんばりますっ!
