春日大社「いのちと心の講座」
~春日に伝わる祭典を彩る装束~「十二単成立の謎」に参加してきました。
講師先生は、春日大社主任学芸員の松村和歌子氏。
十二単=裳唐衣装束=女房装束で、
下着である単に内衣である袿(うちぎ)を重ね、TPOに応じて上着を重ね、
正装には、裳・唐衣を着けた装束のことです。
基本の下着スタイルは小袖に袴です。
装束を着せてもらっている方を「お方」と呼び、
お方の前の方を担当する衣紋者を前衣紋者、後ろの方を後衣紋者と呼びます
衣紋に堪能な方が後衣紋者をつとめます。
次に単を着ますが、一番下の裏無しの着物で本来的には肌着です。
袿や表着と形は同じで上に着るものが汚れないようにという配慮から
少しおおきめの仕立になっているそうです。
袷(裏付き)の袿をTPOにあわせて枚数を加減して重ね着をしていきます。
そのつど紐で縛っていきますが、次の袷を着るときには下のひもは取ってしまいます。だから身につけている紐は常に一本だけです。
一番上には同じ形式で色や模様、生地を豪華にした表着(うえのきぬ)を羽織ります。
最後に唐衣を着て
帯をしっかりと結んで着付けは終わりです。
後衣紋者は、帖紙(たとうがみ)を懐中に入れ、
檜扇をお方の右手に渡し終わって、衣紋者はお方にご挨拶をして
退いていくのです。
このような重ね袿装束は、貴族女性の日常のファッションでした。
簡単に言うと、長袴と小袖の上に広袖の着物を重ねて羽織る重ね袿スタイル。
活動的ではありませんが、自室でくつろぐには向いていたファッションだったそうです。
また外出をするときには簾で顔を隠しているので、
世間の人から見えるのは着物だけです。
だからより注目を浴びるようにと着るものには力を入れていたようです。