ひかり | 人生をピンセットでつまむ

ひかり

私はふと股間を見た。金の玉だと言うのに金の玉は光ってはいない。では何故、金の玉だと言うのか。誰がソレを言い誰がソレを広めたのだろうか。私はソレを考え苦悩し、頭を抱え絶望へと歩みを進める。今日は風が強い。しかめた面で空を見上げれば少し欠けた月が浮かんで寂れた町を照らしている。切なさが胸を強く掴み、私は両手で顔を覆う。けれどもまだ金の玉は光ってはいない。金の玉だと言うのにソレは光る素ぶりを見せてはくれないのだ。