アパート、皮袋の男、そして空気人形
ポタッ・・・ポタッ・・・
流しにこぼれる雫の音が部屋に響いている。
私は木の椅子に腰掛けながら、
吸ったタバコの煙を空に噴出した。
曖昧な時間の様に、
煙もまた曖昧に漂っている。
窓から見える風景は、
いつもと何ら変わりが無い。
昨日、食べ残したサンドウィッチを、
冷蔵庫から取り出し、
ついでにビールも取り出した。
一口また一口頬張っては、
ビールを喉に流し込んだ。
そうして、瞼を閉じた。
私は夢を見ている。
スウェード地の皮袋を被った男が、
開いた二つの穴からこちらを見ている。
黒く開いた穴に男の目は見えない。
ただ二つの黒い穴だけがこちらを向いている。
無表情の黒。
椅子に座った私は、
そんな男を見つめながら、
買ったばかりのパイプレンチを思い切り、
窓に投げつけた。
ガシャリッ!!
ど派手な音を上げて窓ガラスが割れた。
そして、私はゲラゲラと声を上げて笑った。
ゲラゲラゲラゲラ
ゲラゲラゲラゲラ
静寂の部屋に私の狂った声だけが響いた。
ラーメン食らってオーラルセックス。
私のギヤがローギヤからトップへとシフトし、
走り出したんだ。
あの闇へ明日へ昨日へ。
背中が見えないほどに、
疾走したのだ。
そして、傍には空気人形が・・・