休日の風景 | 人生をピンセットでつまむ

休日の風景

雨が降り出している。


さっきまで灰色だったアスファルトが、

黒色に塗りつぶされて光る。

私は椅子に掛け部屋の中でそんな景色を眺めながら、

先ほど冷蔵庫から出したビールのプルトップを開け、

それをごくごくと喉に流し込んだ。

ビールの炭酸と苦味が鼻腔を通り抜ける。

休日の何もする事ない午後の時間を、

そうして私は過ごしている。

ちょっとだけ煙草の事を思い、

あの香ばしい様な香りを想像してみたが、

もう煙草から遠ざかって五年、

懐かしさを覚えつつも忘れる事にする。

ビールをもう一口流し込むと、

口寂しい事に気がついた。

私はそれを解消する為に、

キッチンへ向かい冷蔵庫を開けてみる。

独り身の冷蔵庫の中身といえばたかが知れているが、

それでもベーコンがあり、レタスがあり、トマトがあった。

私は冷蔵庫のそれらを眺め「そうだな・・・」などとひとりごち、

サンドウィッチを作る事に決めた。

食パンを戸棚から取り出し、

マヨネーズ、マスタードをまんべんなく塗る。

それからレタスをザクリッと切り、スッとトマトを輪切りにし、

ベーコンをカリカリになるまで炒め、

それらを食パンに豪快に乗せて挟む。

これで出来上がりだ。

私は冷蔵庫からもう一本ビールを取り出し、

サンドウィッチを運んでリビングのソファーに腰掛けた。

プシュリっと軽快な音を立てまたプルトップを開ける。

私はこの音が何故か好きだ。

そうして一口流してから、

サンドウィッチを頬張った。

フワッとしたパンの食感があり、パリパリとレタスが砕け、

ジューシーなトマトの汁が口に広がり、

ブラックペッパーの利いたベーコンが肉肉しさを味わわせる。

私は咀嚼しながら窓の方を眺めた。


外はまだ雨が降っている。

灰色の空が私の休日をシトシトと濡らしている。











などと書いてみたが、

私の過ごした休日は雨なんて降っていないし、

サンドウィッチも食ってないし、

そもそも私の家にはソファーなんてない。

真実はビールを飲んだと言う事だけ。

ああそう、プルトップの開く音は好きだ。

真実。

そうこれが私のトゥルース。