魔法の言葉 | 人生をピンセットでつまむ

魔法の言葉

ポルポルポル♪

ポルポルポル♪

と彼は歌にも似た言葉を春の空に向かって発し、

色んな所をブラブラさせながら町を歩いた。

薄水色の空に溶け込むポルポル。

ポルポルは意外と空に馴染むのだ。

君はポルポルの意外性に驚いた顔を見せる。

彼は君を見て笑い、

ポルポルポル♪

ポルポルポル♪

と今度は呟くように言った。

そのポルポルは春の南風にさらわれて、

くるくるとらせん状に回転し、

海の方へと向かった。

今日の海は穏やかなようで、

ユラユラと水面が揺れる程度である。

心地の良い日和のせいか、

彼は道端に落ちていた棒っ切れを拾い、

子供のようにブンブン振り回しながら歩いた。

君はそんな彼が気になって気になって、

自分も棒っ切れを急いで探し出し、

同じようにブンブン振り回した。

と同時に、

ポルポルポル♪

ポルポルポル♪

そう声を発した。

それに続くように彼もまた、

ポルポルポル♪

ポルポルポル♪

とさえずる鳥みたく口を動かした。

そうして二人は同時に笑みを見せた。

棒っ切れを振り回し、

ポルポルと発しながら、

春の匂いが漂う海沿いを歩いた。


ポルポルポル♪

ポルポルポル♪


その言葉はきっと幸せの魔法だ。

そう思って二人は歩いているのである。