くすぐられる本
森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』 を読んだ。
この筆者の作品は『太陽の塔』、『新釈走れメロス』、
と今まで二作品を読んだのだが、
独特の文体と妄想劇が私は非常に肌に合ったようで、
すこぶる楽しく読むことが出来た。
なので、今回も期待し読み進めてみた。
あらすじとしては、
京都の大学生の男(ストーカーチックな)が、
後輩の女(超天然娘)に恋をし、
偶然を装いながら幾度もその女に近づこうとする。
だが、そうは世の中上手く運ぶわけもなく、
すれ違いながらもあきらめず女の足取りを辿り、
徐々にではあるが向かう先々でその女と触れ合う。
「たまたま通りかかったものだから・・・」
などと発し偶然を装う。
果たしてこの男の行いは実を結ぶのか!?
そんな純愛ストーカー小説だった。
またこの話の登場人物達はとてもキャラクターが濃い。
天狗の様な男、樋口。
酔うと他人の顔をベロベロ舐める女、羽貫。
金貸しで、夜道を行く男を襲っては下着を奪う趣味の持ち主李白翁。
などなどがおり、まだまだ色々な癖のある人物が登場し、
この話を盛り上げて行く。
しかし、やはり二人の男女の主人公に読み手は惹かれる。
世に対するひねくれた思想を持ちながらも、恋に一途に走る男。
それには気づくそぶりもなく、マイペースに愉快に過ごす女。
その女のキュートな人物設定に世の大方の男はやられるだろう。
読めば分かるのだがあまりにも可愛いのだ。
時折発する。
「なむなむ」
などのマジナイの言葉が心をくすぐる。
決して現実にはないであろう男が求める女の子像がこの物語には登場し、
私ともども読んだ読者は彼女に恋をするのだろうと思う。
それ程に男の理想を描いたような人物なのだ。
そうして、読むうちに恋をした私は、
「なむなむ!」
などとマジナイを唱える。
とてもとてもそれはキュートでポップな小説だった。
読後は非常に心が温かくなった。
この文体が苦手でなければ、
「世の男子諸君!この小説を是非読みたまえっ!!」
「夜は短し歩けよ乙女」
そう呟いて秋の夜道を歩くのも一興である。