読む味 | 人生をピンセットでつまむ

読む味

ポール・オースターの『幽霊たち』を読んだ。

登場人物が、ブルー、ホワイト、ブラック、ブラウン、etc

などの為か何だかタランティーの『レザボア・ドッグス』を思い出した。

だが、登場人物が色という事以外二つに関係はない。


この小説は脳裏に淡くかすれた様な風景が浮かび、

色の付いた登場人物がその世界で動いている。

そんな不思議な印象を感じながら読んだ。

話は、ホワイトと言う人物がブルーと言う探偵に依頼をする。

ブラックと言う名の男を見張り、必要がなくなるまでつづけてくれと・・・

そうしてこの物語は始まる。

ブラックのアパートの向いにホワイトが借りたアパートで、

ブルーはブラックを見張る。

何のおかしな事も起こらないまま時だけが過ぎて行く。

ブルーはブラックを見張りながら考える。

この依頼の意味は・・・

ブルーは頭が錯綜する。

そして、ブラックに接触する事を考え始める。

果たしてこの依頼の目的は何か?

そしてどこへ向かうのか?

と言った様な探偵小説であり、

私が今まで読んだどれとも似ていない小説だった。

また私が小説や映画で大事だと感じているラストについては、

体から指先までそのシーンがしっとりとしみ込む様な余韻を感じた。

読み終えた私はその本を閉じ机の上へと置き、

ゆっくりと初めから終わりまでを咀嚼し味わい思い起こした。

今、口の中に広がっている味。

それは好物の味噌ラーメンに似ているかも知れない。

いや、やっぱり似ていない。


そうしてまた、次に出会うであろう本を想像し、

私は唇をぺろりと舐めた。

甘美な世界がそこには待っている。