欲の塊
今、私に物欲という魔物が襲い掛かっている。
アレも欲しいコレも欲しいと心が叫びをあげている。
だがしかし、今月の使えるお金はほぼ使ってしまった。
「だったら貯金を使ってしまえ!」と私の中の赤い小悪魔が囁く。
「そ、そうだよなちょっとくらいなら・・・」なんて事をついつい思ってしまい、
通帳に手を伸ばすがソレを開いた瞬間、将来の不安が頭をよぎる。
「そのお金で一ヶ月、いや二ヶ月飯が食えるぞ、この貧乏野郎!」
という思いが心を掴み、
私は引き出しに通帳をしまうのだ。
そして、そっと瞼を閉じる。
そんな行為を私は繰り返し過ごしているのです。
かつて、パトリックのハイカットが欲しかった。
あの頃は今よりもお金が無く、
店頭に並ぶその靴を眺めては、
思いを巡らせ渚を走った。
だがある日の事、その靴が店頭から姿を消した。
私は焦りのあまりカツラをずらしながらも店員に尋ねた。
「あ!あそこにあった靴はどこへ行ってしまったのですかっ!!」
「売れました」(しかも今後入荷する予定はない)
答えはとてもシンプルだった。
私はその場に崩れ放心し、カツラが床にポトリと落ちた。
「あぁ・・・なんてこった・・・パンナコッタ・・・」
そうブツブツ呟きながらカツラを拾い店を後にした。
私は人でごった返した街をさまよった。
頬からは冷たい粒がポロポロ、ポロポロと鹿のフンの様に零れた。
街はいつの間にか橙色に染まり、
生暖かい湿った空気が流れ頬を撫でる。
夏が来る。
口に含んだしょっぱい粒を味わいながらそう思った。
ってくらい欲しいのです。