83 | 人生をピンセットでつまむ

83


83


『83』とナンバリングされたTシャツを着ていたら、

ばあちゃんが

「いい服を着ていてくれているね~ううん~」

とか私に言ってきた。

何の事やら分からずに話を聞いていると、

どやらばあちゃんの歳のTシャツを私が着ていて嬉しいとの事。

気づきもしなかった。

だがそこで私は

「そうだよ、ばあちゃんの歳で、おっ!って思ったから買ったんだ」

と、ちょっと嘘をついた。

すると満面の笑みを浮かべながら、

うんうんと頷き、

ばあちゃんはその場を去って行った。

残された私は、

しばらくボンヤリとその『83』と書かれたTシャツを眺めた。

外は梅雨の晴れ間を覗かせ、

青空が広がっているそんな日。

『83』の重みを私はこのTシャツからそっと感じた。


小暑の出来事。