灰色、黒に染まる
前回のつづき(前回はこちら )
ブルーの自転車で私達は駆け抜ける。
思いのほか気温が暖かく今日は天気も良い。
動物達もホラ、気持ちが良さそうだ。
そなん心地の良い昼下がり、
次の目的地を決める為、
私は観光マップを眺めた。
すると、右端に『ロマンチック街道』という文字を発見する。
私の心臓がドクドクと高鳴る。
「ロマンチック街道」
「ロマンチック街道」
「ロマンチック街道」
「ロマンチック街道」
「ロマンチック街道」
「ロマンチック街道」
「ンチック街道」
「ク街道」
「街道」
「道」
脳裏でリフレインする言葉。
Fu!止まらない!
ロマンティックが止まらない!
独断で目標をロマンチック街道に定め、
私達は走り出した。
現時点では観光マップの左側に居り、
観光各所の距離を見る限りロマンチック街道まではおよそ8kmくらいと思われる。
天気が良いので快調に自転車を漕ぎ街中を抜け、国道を通り、
だだっ広く田畑が現れ、遠方に広がる山々を眺めながら、
私達は走った、ひた走った。
かれこれ30分は漕いだだろうか、
地図から予測するに、そろそろロマンチック街道へ突入してもいい頃である。
だが一向にその気配すらない。
看板も無ければ、ロマンチックのカケラもない。
あるのは周囲に広がる肥やしの臭いだけだ。
おかしい、臭い、と思いながらも私達は更に走った。
すると段々周囲が暗くなって行くのを感じる。
ズンズンズンズン
ズンズンズンズン
「ん?」
「何故暗くなる?」
と、思った矢先、頭に何かが当たった。
頭に当たったソレはカーブを描き頬に降りて来る。
雫。
雨。
ポタポタと音を立てソレは灰色のコンクリートを次から次へと黒く染める。
私達は迷う。
戻るべきか?
進むべきか?
と、左手に『ロマ・・・』看板が微かに見えた。
激しく寄る。
『ロマンチック街道12km』
私達は何も言わず自転車を即座に方向転換し、
来た道に向かって走り出した。
こわばる表情。
土砂降りの雨。
ソレにやり切れなさをぶつけるが如く、がむしゃらに走り、そして漕いだ。
容赦なく頬に叩きつける雨が痛かった。
心が痛かった。
そして、僕らにはロマンチックの欠片さえ残らなかった。
PS:生きてる間にロマンチックなリベンジを果たしたいと思う。


