青ちゃんとは、私の彼への最大限の譲歩の結果だ。
下の名前で呼ばれるのもあれだし、かといって名字にさん付けも他人行儀だなって考えてこの呼び方に落ち着いた。
って、今そんな話している場合じゃない!
「夏目!
何であの黒服がここにいるのよ!」
「黒服?」
夏目は何のことか分からないようで、首を傾げた。
「ああもう!
ほら、昨日言ってたじゃん!」
「あー、もしかして妙子部隊の事かな?」
「名前までは知らないわ!
で、本題は……」
何で黒服がいるのか、と聞こうとしたとき、後ろで跳躍する気配がした。
マズい……非常にマズい!
今までは遠距離だったから何とかなっていたけど、近付いてくると避けられない。
どうする……どうする。
「ああ、なるほど。だからあんなに焦ってた訳ね」
目の前の少年は妙に落ち着いていた。
何故だろう。私までだんだんと落ち着いてきた。
「まあ、任せなよ」
そう言い切ると、彼は私を自分の後ろにし、手を奴らに翳した。
その間5秒。
時間の制約を無視しているかのような、そんな速さだった。
そして能力の鍵である言霊を発する。
「行動の結果を『なかったことに』」
すると、黒服達はその場で着地し、私達から離れた。
黒服達は苦々しい顔で夏目を見る。
対する夏目は涼しい顔で黒服達を見ている。
仲間じゃなかったのだろうか。
まあいいや。
どちらにせよ、今は夏目の側に回った方がいいね。
昨日の敵は今日の友。
別に慣れ親しむ気はないけどさ。